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主夫の職場復帰は可能か?


5月9日の木曜日はアゼルの祝日で学校が休みのため、私以外の主夫会メンバーは子どもの世話で忙しくなる。そのため、この週だけ、主夫会を8日の水曜日に変更した。午前9時、カフェにはグリムと私だけだった。ニュージョンは米国へ一時帰国中。ロッドニーはデンマーク旅行中。オールドジョンは夕飯の買い物をしてから来るとのことだった。

スコットランド人のグリムとは毎週、テニスをする仲で、それなりに打ち解けてきた感があったので、2人きりになった機会に色々、身の上話を聞く事にした。アゼル滞在6年のグリムは、来月、妻の転勤に伴い、祖国へ帰国する予定だ。妻のスーザンは、BP(英国石油会社)の従業員。

私:グリムはアゼルに来る前は、もともと、何をしていたの?

グ:ずっと銀行に勤めた後、いくつかの金融機関を転々としながら、コンサルティングみたいな仕事をしていた。

私:スーザンがアゼルバイジャンへの転勤のオファーをもらった時、行くかどうか決めるのに、2人で色々話し合ったの?

グ:そこまで深刻なやり取りはなかった。アゼルバイジャンに行けば、スコットランドで働くよりも待遇が良いからね。それに、2人とも海外に住んだ事がなかったから、新しい環境に身を置いてみたいという好奇心もあった。

私:待遇は、そんなに違うんだね。

グ:うん。スコットランドで、私とスーザンが両方働いて稼ぐ合計金額より、アゼルバイジャンでスーザン一人で稼ぐ金額の方が、圧倒的に大きい。海外に駐在すると色々な手当がつく。運転手付きの車、家、子どもの教育費とかね。

私:「主夫」になることへの抵抗みたいなのはなかった?

グ:、、。その時点で、私はもう20年以上も働き続けていた。特に仕事にやりがいがあったわけでもない。少し、休みたいという想いがあった。ただ、こちらに来て、仕事をしていない男性はあまりいないだろうから、友達ができるかどうか不安はあったよ。ただ、その時、2人の子どもが3歳と9歳だったからね。暇になることはないと思ったけどね。

私:それで、アゼルに来てみたら、オールドジョンに会ったわけだ。

グ:そう。その時は、2—3人でよくお茶をしたし、週末の夜に飲みに行ったりもしたよ。

私:スコットランドでは、「主夫」は珍しいの?

グ:個人的には知らないな。でも、今は増えているのではないかな。女性の方がたくさん稼ぐケースはたくさんあるだろうからね。

私:スコットランドに戻ったら、仕事を探すの?

グ:、、。ちょっとわからないな。6年のブランクもある。一体、どんな仕事が見つかることやら。

私:でも、20年の実務経験があれば、いくらでも仕事はあるでしょ。

グ:年寄りを雇用したい会社はあまりないよ。

私:グリンは今、何歳?

グ:50歳だ。

私:アゼルバイジャンで仕事をしようとは思わなかった?

グ:石油関連会社での経験があるならまだしも、私の経歴じゃ難しいよ。言語もわからないしね。就労ビザだって取るのはとても大変だと聞く。

ここで、遅れて来た、オールドジョンも加わった。

ジョ:私たち夫婦もアゼルバイジャンに6年もいることになるなんて想像がつかなかった。後2年くらいだとは思っているけど、それも定かじゃない。その理由の一つが、イギリスに戻ってからの私の身の振り方。もう6年もブラングがあるし、私のしていた仕事は、人的ネットワークを基盤にコンサルするものだったから、そのネットワークはもうすでになくなっている。仕事を再開するとしたら、一からのスタートになる。アゼルにいれば、家も車も提供されるけど、イギリスに戻れば、すべて私たちで支払わなくてはならない。悩みどころだよ。

実は、私も、スージンの現在の短期契約が、正規契約に切り替われば最低4年勤務となり、長期滞在する可能性がある。ここで、4年主夫をした後、日本に帰って就職活動する自分を想像して見よう。

まず、私の履歴書を見た面接官は間違いなく「4年の空白期間がありますが?」と尋ねてくるだろう。「アゼルバイジャンで主夫でした」と答えたら「アゼルバイジャン?どこですか?」と聞かれ、「グルジアとアルメニアの隣です」と言い、「グルジアとアルメニアってどこ?」と聞かれ、「ロシアの隣です」と言い、「ロシアの隣??フィンランド?モンゴル?ロシアって大きいから、国境接する国ありすぎてよくわからない。君は僕を馬鹿にしているのか?」とムカつかれて、まともな面接にはならなそうだ、、、。

改めて、海外駐在する夫に寄り添って、キャリアを犠牲にする主婦の立場が身にしみてわかる。しかも「主夫」の概念が浸透していないため、「空白期間」を正当化しづらいから、負担はさらに大きい。主夫になるのも不安なら、主夫後も不安で、不安ばっかりだな。








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プロフィール

seventh star 7

Author:seventh star 7
黒岩揺光  
1981年、新潟生まれ。7人兄弟の末っ子。15歳で米国留学して以来、住んだ国は計8カ国に。海外生活計17年。日本では毎日新聞記者、アフリカでは難民キャンプの工場長、アゼルバイジャンで主夫、ジュネーブで国連職員などを歴任。現在は中東ヨルダンで妊娠した妻に寄り添う専業主夫。
 著書に「僕は七輪でみんなをハッピーにしたい」(ユーキャン)「国境に宿る魂」(世織書房)。
メール連絡先 yokuroi×hotmail.com (「×」を「@」にしてください) ツイッター:@YokoKuroiwa

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