寿司でみんなをハッピーにしたい

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5月11日は友人を招いてのホームパーティをした。ギリシア、ペルー、アメリカ、韓国、ポーランド、ノルウェー、トルコ、日本の4大陸、8カ国から計13人が我が家に集まり、私が作った寿司とスージンが作った韓国料理(チャプチェ、チヂミ、サンギョップサル)を食べ、スクラブルという英単語を綴るボードゲームをしながら、楽しんだ。

 昔、アメリカの寿司屋でバイトしていたことがある私は、スモークサーモン、チーズ、人参、キュウリ、卵、エビなどを入れた太巻きを作った。日本人参加者から「中身がちゃんと真ん中になってますね」などとお褒めの言葉を頂いた。

 太巻きの写真をフェースブックで載せたら、ある友人から「寿司屋を開業したらどうか?」と書き込みがあった。おそらく、その友人は冗談で書き込んだのだろうが、私は、それを見て、頭の中にある壊れた電球がパッと明かりを照らすような気分に駆られた。

 アゼルバイジャンに来て2ヶ月半。この期間、自分なりにこの国の特徴を目で観察し続けてきた。

1.食パンが20円で買えるのに、日本料理屋の味噌汁一杯が700円。一般庶民向けのものと富裕層向けのもので価格の差がものすごい。

2.資源大国アゼルには、BP(英国石油会社)社員を筆頭に、多くの西洋人が暮らす。

3.西洋での寿司人気はものすごい。

4.寿司は作るのも教えるのも簡単(あくまで、アゼルの日本料理屋で出される寿司レベルを基準にした場合)

5.私の家近くにある日本料理屋の握りマグロ一貫400円。(食べたことない)

6.寿司の発祥国である日本出身の者はアゼルに20—30人のみ

7.ご飯、酢、海苔、わさび、マグロやサーモンの刺身などは、近くの輸入食品店で購入できる。

これらを踏まえ、私は、あるプロジェクトを思いついた。

 私の家に西洋人を招いて寿司を作る。「材料代」という名目でお金を支払ってもらう。ある程度の利益が出たら、私の家の「お手伝いさん」という名目で、石油景気から取り残され、社会的に弱い立場にあるアゼル人を雇う。私が、彼らに寿司作りを教える。そして、西洋人を「友人」として家に招き続け、お手伝いさんが作る寿司を振る舞い、「材料代」として払ってもらったお金を、「お手伝いさん」への給料として支払う。私は、実際の材料費だけを受け取り、利益は出さない。

これにより、富裕層から、貧困層にお金が流れる。日本文化が伝承される。私が暇でなくなる。

構想が何度も何度も頭を駆け巡る。できるかな?面白そう。でも、失敗したらどうしよう?でも、失敗して失うものって何?

何もないじゃん

 そう気付いた時には、私は、キーボードを打ち始めていた。「なぜ、寿司のために大金を支払うのか?」というタイトルで、「日本人の寿司職人から寿司作りを学べば、安く美味しく、いつでも寿司が食べれる様になります。アゼルで手に入るものだけを使った寿司教室にどうぞ」と案内状を書き始めた。

定員7人。

講習時間、2時間。

寿司の種類、エビやスモークサーモンの太巻き。

時間と場所。5月24日午前10時半。我が家。

私のプロフィール:アメリカ、スウェーデン、オランダ、ケニアで寿司作りの経験がある日本人寿司シェフ

講習料はどうするか?材料だけなら1人1000円で十分だ。しかし、利益が出るのかどうかわからなければ、「お手伝いさん」を雇うことはできない。需要を知るため、一人3000円と、少し高めに設定した。

案内状に私が作った太巻きの写真を張りつけ、フェースブックにある「アゼルに住む外国人グループ」(854人登録)に送った。そして、私に主夫会を紹介してくれるなど、アゼルの外国人への情報発信役を担うアンにも、送り、転送をお願いした。

そしたら、反応は私の予想をはるかに上回った。

定員7人は、2時間で埋まった。その後、フェースブックで「満杯になりました」という知らせを送った後も、メール、電話、フェースブックで多くの申し込みがあった。申し込み人数25人。「平日の昼では参加できないから、週末にしてくれ」という要請3件。その内、私の知り合いは2人だけだ。

寿司の需要が高いということがわかり、とりあえず、第一段階はクリア。第二段階は、寿司教室の受講者7人が、私を「寿司職人」として認めてくれるかどうか。

案内状を見た妻は「ちょっと新種の詐欺っぽいけど大丈夫?」と心配そう。詐欺かどうかは、実際に寿司教室をやってみなければわからない。頑張るぞー。
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No title

面白い企画ね。卵焼き器があると完璧ね。
プロフィール

seventh star 7

Author:seventh star 7
黒岩揺光  
1981年、新潟生まれ。7人兄弟の末っ子。15歳で米国留学して以来、住んだ国は計8カ国に。海外生活計17年。日本では毎日新聞記者、アフリカでは難民キャンプの工場長、アゼルバイジャンで主夫、ジュネーブで国連職員などを歴任。現在は中東ヨルダンで妊娠した妻に寄り添う専業主夫。
 著書に「僕は七輪でみんなをハッピーにしたい」(ユーキャン)「国境に宿る魂」(世織書房)。
メール連絡先 yokuroi×hotmail.com (「×」を「@」にしてください) ツイッター:@YokoKuroiwa

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