履歴書に空白期間があったらなぜいけないのか

前回の記事で紹介したハンズは「履歴書のブランク期間が2年以内なら、次の就職活動にそこまで支障は出ない」と話していた。日本はどうだろう?

私が昨年末、アフリカでの仕事を終えることを決めた際、友人たちから色々な声があった。外国人からは「次のステップまで少し休めるね」「良いリフレッシュができるね」というポジティブなものが多かった一方、日本の友人からは「履歴書に少しでもブランクがあると、就職試験でマイナスになる」「それって、ヒモになるってこと?」などなど、肩書きがなくなることへのマイナスイメージが強かった。

国際協力業界は1年や2年の短期契約が多く、不安定な労働形態がマイナスに語られることが多いが、私はそれがこの業界の魅力でもあると思っている。勤務地の多くは発展途上国で物価が安いため、貯金が溜まりやすい。短期契約が多いということは、契約と契約の間に数ヶ月の自由時間を取ろうと思えば簡単に取れる。溜まった貯金で「パー」と数ヶ月間、世界を放浪したり、留学したりしようと思えば、できるのだ。

しかし、なぜか、「パー」と行った話をあまり聞かない。「今の仕事を辞めることにしました」と言う人は、ほぼ必ず、次の就職口が決まっており、ほとんど休みなしで、そのまま次の仕事へ向かう。

今年初め、ケニアで開発業界の日本の友人と食事をした際、共通の知り合いについての話になった。「ああ、○○さん、新しい仕事決まったらしいよ。前回の仕事を辞めたのが3月だったから、冬の期間は9ヶ月くらいだったね」。

私は、思わず「え?冬の期間ってどういうこと?その人にとっては夏の期間かもしれないじゃない」と、いつもの尋問口調になってしまった。

確かに、短期契約が多い開発業界で、新しい仕事が見つからず「宙ぶらりん状態」に苦しむ人はいるだろう。ただ、その期間が「冬」なのか「夏」なのか「春」なのか、他人がとやかく言う筋合いはないと思う。もしかしたら、その期間は、その人にとって、溜まった貯金を使って人生をリセットする大事な時間かもしれない。

 そもそも、なぜブランクがあってはいけないのか。「仕事をしなければ、その期間、仕事をしていた人よりも能力が落ちる」ということかもしれないが、それは少しおかしい。高校から野球を始めた人が、小学校からやっている人よりうまくなるなんて話はざらにある。人それぞれの適正にあった「仕事」なら、少しのブランクがあっても、短期間で他人とそこまで差がつくとは思えない。

じゃあ、何が理由なのか?組織に属さないと「ニート」や男性の場合は「ヒモ」などあらゆるネガティブレッテルがあり、「仕事しない奴はだめだー」みたいな社会的通念なのだろうか。しかし、それこそが契約と契約の間の「宙ぶらりん状態」の人を苦しめている最大の要因なのかもしれない。

ちなみにこの「ブランク」という言葉。英語で「空白」を意味するが、英語ではキャリアでの「空白期間」としては使用されないため、「3年のブランクがあった」と言っても通じない。それでは、なぜ、日本で「ブランク」と言うようになったのか?履歴書で職歴と職歴の間に情報がない部分を「ブランク」と呼び始めたのがきっかけだという。肩書きがなければその時間は「空白」と決めつけていいのだろうか、、。

ある発展途上国で人道援助に携わる友人の給料は手取りで二十数万円。生活費は家賃と食費合わせて二万もしない。精神的に辛い住環境で、仕事の愚痴が多いが、なぜか契約を更新し続けている。「だって、更新しなければ、 宙ぶらりんだもん」が彼の返答。余計なお世話だとわかっていても、彼の貯金は一体、いつ使われるのだろうかと、考えてしまう。
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Author:seventh star 7
黒岩揺光  
1981年、新潟生まれ。7人兄弟の末っ子。15歳で米国留学して以来、住んだ国は計8カ国に。海外生活計17年。日本では毎日新聞記者、アフリカでは難民キャンプの工場長、アゼルバイジャンで主夫、ジュネーブで国連職員などを歴任。現在は中東ヨルダンで妊娠した妻に寄り添う専業主夫。
 著書に「僕は七輪でみんなをハッピーにしたい」(ユーキャン)「国境に宿る魂」(世織書房)。
メール連絡先 yokuroi×hotmail.com (「×」を「@」にしてください) ツイッター:@YokoKuroiwa

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