夫がいない方が料理の効率があがるというのは本当か


「夫には台所にいてもらわない方が仕事の効率がいい」と、何人かの主婦が話していた。確かに、私たち夫婦も、台所ではよく喧嘩をするから、たまに「これなら一人でやった方が早い」と思うことがある。

例えば、2人で料理している時、まだ作業が終わっていないのに、妻が突然、食卓の椅子に座り込んで携帯電話を覗き込む時。「ちょっと、流しにある皿、洗ってくれない?」と頼むと「ちょっと休むくらいいいでしょ?」と言う。「だったら、リビングに行ってよ。台所でくつろがれても、気が散るから」と言うと「ここは私の家なの。私がどこにいてもいいでしょ!」「邪魔なんだよ!」と感情のぶつかり合いが始まる。

その他にも、水を沸騰させる時に鍋に蓋をしないこと、冷蔵庫に入れる野菜をビニールでカバーしないこと、野菜の切り方から、炒め方まで、ありとあらゆる部分で言い合いになってしまう。

しかし、2人でやるより1人でやる方が早いなんて論理的にありえない。そんなの私が望む理想な夫婦像でもない。ここは、自分の感情を押し殺し、妥協できる部分は妥協し、主張する部分は冷静かつ友好的に主張するように心がけてみよう。

6月5日、「酢豚が食べたい」という妻のリクエストに答え、午後のうちに、ピーマン、人参、タマネギなどの買い物を済ませておき、冷凍庫にある豚肉を取り出して解凍しておいた。午後6時10分ごろ、私がスポーツセンターから帰ってくると、妻は既に帰宅していた。

まずは平和的な雰囲気を醸し出すため、台所に音楽を流す。曲は、ZARDの「負けないで」。

妻が「まず、何をすればいい?」と聞いてくる。私は「人参を乱切りにして茹でてくれ」とお願いする。そこで妻が「ようこうが野菜を切って、私が肉をやったほうがいいのではない?」と聞いてくる。

この場面こそ、夫婦で何かする場合、言い合いになってしまう要因の一つだ。つまり「明確な司令塔の不在」である。本来、私が買い物から下準備をすべてしたわけだから、私の指令に、妻が従えばいいのだが、妻は「女のプライド」があるからなのか、台所で私に主導権を握られるのをなぜか嫌がる。嫌がっていないのかもしれないが、口出しをしたがる。

そこで私は「とりあえず、今日は私を司令塔としましょう」と言い、妻が黙って人参を切り始める。

私は豚肉を切り始める。妻が人参を茹でるために鍋に水を入れ、電気コンロにかけた。いつもの様に、鍋には蓋をしていない。

ここが、喧嘩になりうる第二のポイント。いつもなら「なぜ、鍋に蓋をしないんだ?余計な電気を使ってしまうだろ!」と私が言い、台所業務で男に何か言われることがしゃくに触る妻は「細かいこと言うな!」と言い合いになる。しかし、ここは我慢。私は妻に何も言わず、そっと鍋の蓋を取り出し、鍋に置く。

私はショウガをすりおろし、醤油と酒で肉に味を付ける。妻は野菜を一つ一つ切る。私が、冷蔵庫を開けて、ケチャップを探すが見当たらない。「ケチャップどこにある?」と妻に尋ねるが、「冷蔵庫にあるはずかだら、よく探して」とぶっきらぼうな返事がくる。いつもなら「ないから言っているんだよ!」となるところだが、私は黙って探し続けると、妻が冷蔵庫を覗き、本当にないことを知る。妻は別の所を探し始め、コンロ傍に醤油やミリンと一緒に並べられているケチャップを見つける。

ケチャップ、砂糖、鶏ガラ、塩、酒などを混ぜ合わせるが、ケチャップが足りない。妻は「オイスターソースでも美味しいのでは?」と提案し、私は黙って受け入れる。

私が野菜を炒め始め、妻は肉に片栗粉をまぶし、油で揚げ始める。「肉、少し大きく切りすぎたんじゃない?」という妻の質問にも沈黙を保つ。私には全く問題のない大きさだが、そんなこと主張したところで、もう揚げ始めているのだから、言い合いをしても仕方ないのだ。

私は、野菜をフライパンで炒める合間に、味噌汁を作るため、人参を茹でた鍋を荒い、水を入れる。昆布を入れ、コンロにかける。味噌汁にいれる人参と長ネギを切る。
酢豚の野菜がしんなりしたところで、椎茸と人参を入れ、ケチャップなどを混ぜたものを入れる。そして、片栗粉と水も入れる。そのころ、丁度、妻が肉を揚げ終えるころになる。肉の油をとる紙がもうべちゃべちゃになっており、あきらかに、油を取り切れていない。いつもだったら「それじゃあ、油が取れないだろ!」と言うところだが、ここは黙って、新しいナプキンを取り出し、皿と一緒に、妻の隣にそっと置く。

揚げ終わった肉を、野菜と混ぜ合わせる。そしてピーマンも30秒ほどからっと揚げ、本体と混ぜ合わせた。「ようこうが片栗粉を早く混ぜすぎた。肉が完全に揚げ終わるまで待たないと」という妻からの忠告も、謙虚に受け止める。

昆布が入った鍋も沸騰し、味噌と混ぜ合わせ、ネギを入れる。

時計を見る。6時45分!なんと、酢豚と味噌汁、そしてご飯を35分でやり終えた。

そして、妻が酢豚を口にした瞬間、「うーん」と目をつぶって唸る。私も豚肉を口に入れる。どの中華料理で食べる酢豚よりも美味しい。台所での「イライラ」はすべて吹き飛ぶ。

 私たちは食べるのも早く、7時には、後片付けを始めていた。「今日は早かったね」と言うと、妻は「うん」と頷いた。

「夫が台所にいない方が早く料理ができる」というのは、夫の能力不足も原因かもしれないが、夫婦間のコミュニケーションにも問題があるのかもしれない。是非、料理の楽しさを皆が体験できるよう、「あなたが台所にいてくれた方が助かるの」と言い合えるようになれないものか。

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プロフィール

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Author:seventh star 7
黒岩揺光  
1981年、新潟生まれ。7人兄弟の末っ子。15歳で米国留学して以来、住んだ国は計8カ国に。海外生活計17年。日本では毎日新聞記者、アフリカでは難民キャンプの工場長、アゼルバイジャンで主夫、ジュネーブで国連職員などを歴任。現在は中東ヨルダンで妊娠した妻に寄り添う専業主夫。
 著書に「僕は七輪でみんなをハッピーにしたい」(ユーキャン)「国境に宿る魂」(世織書房)。
メール連絡先 yokuroi×hotmail.com (「×」を「@」にしてください) ツイッター:@YokoKuroiwa

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