スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

朝日新聞朝刊(7月2日付け)「私の視点』に掲載されました

 朝日記事_convert_20130702133912


 ケニアの難民キャンプで私が携わった音楽コンテストが2010年6月、ニュース番組で報道された時は、とてもうれしかった。キャンプを訪れた音楽グループ「ゆず」のメンバーが「音楽で難民の夢を開きたい」と国連と協力して企画したものだ。難民の歌声がインターネットなどを通して日本で流され、投票によって、スーダン人の10代の女性3人組が優勝した。

 私は10年3月から約3年間、ソマリア人など約45万人が暮らすこの難民キャンプの国連事務所やNGOで人道援助に携わった。音楽コンテストでは予選の審査員も務め、出場した若者たちと親交を深めた。優勝者は、キャンプの様々なイベントで歌を披露して、鼻高々だった。

 音楽コンテストを通して日本で難民問題に関心を抱く人が増え、寄付金が集まったことは大きな成果だったと思う。ただ、本当にあのコンテストが、難民にとって最も必要とされる支援だったのか、今では疑問を抱いている。

 コンテストが終わって数カ月たったら、出場した若者たちが話題になることはなくなってしまった。そして、生活は改善されていない。現在もキャンプにある売店で働くなどして、月に数千円を稼いでいる状態だ。

 支援の方法は様々ある。トルコの団体は違うアプローチで支援した。ソマリア人は結婚する際、男性側が女性側に贈呈品を渡すのが慣例なのだが、仕事がないために用意できない多くの若者に「結婚奨学金制度」を創設した。数十人の難民の若者の結婚を支援し、「この恩は一生忘れない」と歓迎された。

 私がキャンプで実施した1300人の若者対象の実態調査で、「一番学びたいもの」にあげられたのは「経営学」や「英語」だった。キャンプにはレストランやホテルなどが立ち並ぶ大きな市場があり、そういった所で働くための能力を身につけることこそが彼らの本当の「夢」なのだ。

 一番大きなレストランのシェフの月収は3万円。ケニアの国家公務員並みだ。アジア料理をつくる技能を伝授すれば、キャンプで働く欧米出身の援助関係者数百人を顧客にビジネスができる。

 キャンプに住む難民の人たちは、よい仕事について幸せな家庭を築きたいと思っている。「難民の夢を開きたい」と考えるなら、現場の声を第一に考えてこそ、その効果が最大限発揮される。現場の視点こそが、支援に持続性をもたらすのだと思う。
 (くろいわようこう フリーライター)
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

seventh star 7

Author:seventh star 7
黒岩揺光  
1981年、新潟生まれ。7人兄弟の末っ子。15歳で米国留学して以来、住んだ国は計8カ国に。海外生活計17年。日本では毎日新聞記者、アフリカでは難民キャンプの工場長、アゼルバイジャンで主夫、ジュネーブで国連職員などを歴任。現在は中東ヨルダンで妊娠した妻に寄り添う専業主夫。
 著書に「僕は七輪でみんなをハッピーにしたい」(ユーキャン)「国境に宿る魂」(世織書房)。
メール連絡先 yokuroi×hotmail.com (「×」を「@」にしてください) ツイッター:@YokoKuroiwa

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。