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「なぜ、子どもを産まないのか?」

韓国語が少しできるようになって、改めて、韓国と日本の違いを感じ取ることがある。

私も鈍感で、人から「よく、そこまでプライベートな事聞くねえ」と言われる事があるが、韓国人は私と比ではない。

両親の友人と食事をすると、必ず、「子どもはいるのか?」という話になる。そこまでならまだいい。私が「いません」と答えると、「何か理由があるのか?」と必ず聞いてくるのだ。

結婚したら子どもという固定概念があるのはわかる。しかし、子どもを作りたくても作れない夫婦が珍しくないこの時代に、初対面から「なぜ子どもがいないのか?」と聞かれるのには戸惑いを隠せない。

勿論、私たちの場合は、これまで離れ離れな上、お互い短期契約の仕事しかなかったから子どもを作ろうとは考えなかった。しかし、もし、私たち夫婦が健康上の理由で子どもが作れないのだとしたら、「なぜ子どもがいないのか?」という質問は、精神的ダメージになりかねない。

義母と義父はもっとすごい。「コンドームばかり使っていると体に良くないのよ」「この夏、北海道旅行するなら、そこで作ればいい」。「お願いだからほっといてくれーーーー!!」と叫びたくなるのを堪える。しかも、それが毎日毎日の様に続くのだ。

そりゃ、11人目の孫がもうすぐ生まれる私の両親と比べたら、妻の両親にとっては初孫になる私たちの子どもの顔がみたい気持ちはわかる。さらに、両親が生まれた1950年代の韓国は、2−300万人の犠牲者を出した朝鮮戦争で国土の大半が廃墟となり、義父は20歳まで年に1、2回しか肉が食べれないほど貧しかった。家族や親戚がお互いに「おせっかい」をしなくては生き延びれない時代だったのだ。


それでも、いくら、2人が騒いだ所で、私たちの子どもが生まれるタイミングが早まるわけでもないわけだし、一番、それを重荷に感じるのは私ではなく、妻のスージンだ。

ある夜、家族4人での食事中、私が「いやあ、いつも美味しい物ばかりで嬉しいな。次は3ヶ月くらいいたいですね」と冗談を言った。

そしたら、義父が「子どもができたら3ヶ月いていいよ。もし、子どもができないなら、ここには来ないでくれ」と言ってきた。

冗談なのはわかる。義父は水泳帽を被って海水浴をしたり、突然、歌い出したり、お茶目で可愛いところがある。だから、私も、義父とはかなりストレートに話し合いができている。それでも、「ここには来ないでくれ」発言は、ちょっと、冗談にしては、たちが悪すぎる。これまで「早く子ども産め」と言われ続け、溜まりに溜まった、ストレスが一気に吹き出た。

私:わかりました。それでは、子どもができるまではここには来ない事にします。なぜ、そこまで、我々夫婦が子どもを産まなくてはいけないと言い続けるのですか?

義母:韓国では結婚したら2、3年で子どもが産まれるのは普通なのよ。

私:でも、私たちがこれまで子どもを産める環境じゃなかったじゃないですか。もし、これから、何年かして、本当に私たち夫婦が子どもが産めなかったらどうするのですか?今、産みたくても産めない夫婦なんてざらですよ。

義母:その時はその時よ。あなたたちが一生懸命やってできないのなら仕方ないと思うわ。

私:でも、今、これだけ言われてプレッシャーをかけられ、本当に子どもが産めなかった時、今、お二人から言われ続けて来た言葉は私たちを大きく傷つけることになりかねない。

義母:私たちはあなたたちの幸せを考えて言っているだけなのよ。家族は子どもがいた方が絶対幸せだわ。

私:それはよくわかります。ただ、お二人にとっての「幸せ」と、私たちにとっての「幸せ」は異なる可能性もあるということをわかっていただきたいのです。子どもがいなくても幸せにしている夫婦はいくらでもいます。

義母:でも、子どもがいない夫婦より、子どもがいる夫婦の方が多いわ。

私:、、、。多数派がやることをすることが幸せだということですか?

義母:、、、、。

私:お二人が私に「早く産め」「産まないなら家に来るな」と言うのを、隣にいるヘジンがどういう気持ちで聞いているか想像したことがありますか?

義母:ヘジンはまだ結婚もしていない。

私:だから言っているのです。結婚しなければ「なぜ結婚しないのか?」、子どもがいなければ「なぜいないのか?」とずっと聞き続けられたら、「結婚しなければ、俺は駄目な子どもなのか?」「子どもを産まなければ、俺は駄目な子どもなのか?」って考えちゃうじゃないですか。

ヘ:そうそう。(ヘジンは少し恥ずかしがり)。

私:ヘジン、私は、ヘジンが結婚しようがしまいが、子どもを産もうが産むまいが、死ぬまでずっと私にとって大事な「妹」だよ。(ヘジンの肩に手をやる)

ヘ:おおー。お父さんより、お義兄さんの方が優しいよ。

義母:私たちは子どもを産まなければだめなんて言ってないじゃない。

私:子どもを産まなければ、家に来るな、とお義父さんが言いました。

義母が義父の腕をパシッと叩く。

義母:お父さんは冗談が下手なのよ。

と、いつもの話し合いは終わり、「毎週金曜日夜は夫婦水入らずで夜のドライブに行くんだ」と義父が言い、私が「2人きりでずるいですよ。私とヘジンも連れて行ってください」とわがままを言い、「わかった。じゃあ、一緒に行こう」と言ってくれた。

車の中で、お義父さんは「ヨーコー。あんな事言って悪かったね。ヨーコーが家に来るのはいつでも大歓迎だよ」とつぶやいた。

親を「お母様」「お父様」と呼ぶ韓国社会において、義息子が父親に反論するのは掟破りだ。にもかかわらず、お義父さんは、私の意見をいつも笑顔で聞いてくれる。自分の考えていることを伝えないと気がすまない私みたいな人間にとっては、本当に素晴らしい両親だ。ちょっとおせっかいだけど、それも私への思いやりがあってのことである。





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プロフィール

seventh star 7

Author:seventh star 7
黒岩揺光  
1981年、新潟生まれ。7人兄弟の末っ子。15歳で米国留学して以来、住んだ国は計8カ国に。海外生活計17年。日本では毎日新聞記者、アフリカでは難民キャンプの工場長、アゼルバイジャンで主夫、ジュネーブで国連職員などを歴任。現在は中東ヨルダンで妊娠した妻に寄り添う専業主夫。
 著書に「僕は七輪でみんなをハッピーにしたい」(ユーキャン)「国境に宿る魂」(世織書房)。
メール連絡先 yokuroi×hotmail.com (「×」を「@」にしてください) ツイッター:@YokoKuroiwa

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