「男のロマン」とは何か?


7月27日に帰国してから、東京 → 新潟 → 東京 → 広島 → 大阪 → 滋賀 → 青森 → 函館 → 札幌 → 新潟 → 東京 → 浜松 → 東京 → 新潟 → 大阪 → 名古屋 → 新潟と、日本を横断した。家族との団らん、広島カープの試合観戦、別所哲也さんとのラジオ出演、夫婦で北海道旅行、各地で講演、旧友との再会などを楽しんだ。

すべて新幹線で移動しているため、相当な移動費がかかっていると思われるかもしれないが、全部で8万5000円。日本を短期で訪れる外国人か、外国人と結婚し海外在住している日本人にしか買えない、「JRパス」という割引チケットのおかげ。新幹線を含むほぼすべてのJR線乗り放題で、しかも指定席取り放題。パスの手形を見せると、全国津々浦々の改札口の駅員さんが「はいどうぞ」と通してくれるから、水戸黄門の気分だった。

さて、講演会。昨年1月に帰国した時から始め、これで計8回となった。これまでは難民キャンプの話が中心だったが、今回は初めて「専業主夫」の話を取り入れた。

私が1年半暮らした広島での講演では、参加者の多くが学生で、知り合いも何人かおり、「主夫話」はかなり受けた。東京の講演は、参加費2000円ということもあり、半分以上は知人か、知人の知人だったため、これまでの講演で一番、笑いがあった。

浜松は、知人が一人もおらず、しかも対象が財界の人たちで、初めての環境での講演だった。主催していただいたのは地元の「経済クラブ」という青年会議所の様な組織。私も緊張したのか、広島や東京の様には、笑いが巻き起こらない(汗)。

私が何も教えられない教育を受けて、スカートを履いて保育園に通ったこと。中学時代の教科書が競馬新聞だったこと。妻との対決に負け、専業主夫としてアゼルバイジャンに赴任したこと。ブログのタイトルが「ヒモのプライド」ということ。

なかなか笑いの壷を押さえられず、1時間ほどで話は終わった。そして、質疑応答に入ると、驚いたことに、次から次へと質問が。中には2度立ち上がって質問してくれる人もいた。

「難民キャンプの人たちの結婚観は?」

「キャンプでなぜ格差ができるのか?」

「海外に長く滞在して日本の良いところ、悪いところ」

などなど。

賞賛のコメントもいくつか頂き、ほとんどが、4—5人しかいなかった女性参加者からだった。

「応援しています。日本は、一度辞めると、なかなか復帰できずらいから、主夫をするのが難しい」

「自分の姿を見る思いだった」

「是非、中学や高校でもお話してほしい」

 そんな中、ある男性参加者から、こんな質問があった。

「あなたは今、何をしているのですか?」

私は、講演での話がうまく伝わらなかったのかと思い、改めて「専業主夫です」と答えた。

そしたら、その男性は「男のロマンみたいなのはないのでしょうか?また、難民キャンプに戻って仕事をしたらどうでしょうか?」と言った。

男性の表情は少し強ばった感じ。私は、想定外の質問だったので、少し答えに困った。

「勿論、現場にまた戻りたいとは思っています。でも、今、私が現場に戻ったら夫婦生活ができなくなります。妻がやりたい事、私がやりたい事のバランスを取り、家族にとって何がベストなのか考えたいと思っています。『男のロマン』と『女のロマン』にどんな違いがあるのか私にはよくわかりません。ただ、『人間のロマン』は持ち続けていきたいと思っています」

男性は私と目は合わせず、マイクを司会者に渡していた。

質疑応答後、名刺交換しにやってくる人のほとんどが女性だった。さらに懇親会でも女性参加者は2人だったが、私の席の近くに真っ先に来てくれたのもこの二人だった。一人は「ノートとペンを忘れて、自分の手にメモしていました」とペンで字が綴られた手の甲を見せてくれた。

懇親会後、今回、私の講演会を企画して頂いたNさんの車で送ってもらった。

Nさんは「あの、『男のロマン』について質問した方は、私の先輩です。私を含め、経済クラブのメンバーの多くは、地元で父親の会社を継ぐ二代目です。『男』であるがゆえに、黒岩さんの様に自由に自分の人生を選択することができなかったので、『専業主夫』の概念は理解できないかもしれません」 と説明していただいた。

私は「でも、ああやって、自分の想いを率直に話していただけるのは嬉しいです」と言うと、「はい。おそらく、女性陣が『主夫ばんざい!』みたいな感じだったので、男性側の視点を話したかったのかもしれません」とNさんは話した。

 

私も自営業の父がおり、次男が継ぐことになっているが、もし、私が唯一の子どもだったら、それなりのプレッシャーはあったかもしれない。もしかしたら、この男性の様に「男のロマン」を求める人間になっていたかもしれない。

Nさん自身は、私の本もブログも読み、講演会を企画、宣伝するだけでなく、私を自宅に泊めてくれ、本の宣伝までしていただいた。パソコンの電源コードを忘れたら、すぐ佐川急便で新潟まで送ってくれた。

各地で講演会を準備していただいた皆様、そして話を聴きに来てくれた皆様。本当にありがとうございました。これからも忌憚のない意見交換ができるよう、謙虚に笑顔で自分の体験を発信していきたいと思います。

講演会の様子を見たい方はこちらをクリック

浜松講演P

中日新聞浜松講演

浜松講演手の甲



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プロフィール

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Author:seventh star 7
黒岩揺光  
1981年、新潟生まれ。7人兄弟の末っ子。15歳で米国留学して以来、住んだ国は計8カ国に。海外生活計17年。日本では毎日新聞記者、アフリカでは難民キャンプの工場長、アゼルバイジャンで主夫、ジュネーブで国連職員などを歴任。現在は中東ヨルダンで妊娠した妻に寄り添う専業主夫。
 著書に「僕は七輪でみんなをハッピーにしたい」(ユーキャン)「国境に宿る魂」(世織書房)。
メール連絡先 yokuroi×hotmail.com (「×」を「@」にしてください) ツイッター:@YokoKuroiwa

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