ウンコをする場所を選べる楽しさ

私は昔からお腹を壊しやすく、突然の発作でトイレに駆け込まなくてはならないことが多々ある。トイレが近くにない時はいつも死にもの狂いで我慢しなければならない。

中学時代、スキー部合宿のミーティングでは全員正座で先生の話を聞いている最中に「発作」が起きた。先生たちは真剣な表情で「俺たちはな!お前たちをな!全国大会にな!連れて行きたいんだよな!」と説教なのか、激励なのかよくわからない話を延々と続けていた。さすがに、ここで「すいません、トイレに行きます」とは言えず、歯を食いしばった。

20分、30分と経ち、ようやく、先生が「それでは、ここで終わりにします」と言い、私たちは「ありがとうございました!」と頭を下げた、その瞬間、私の緊張の糸が切れ「ボム!」というガスが吹き出る音が私のお尻から出た。

50人くらい混雑した中に私が混じり込んでいたら「誰だ誰だ!」と騒いで、ごまかせたのだろうが、運悪く、私は一番角の隅に座っていた。一瞬で、全員の視線がこちらに集まった。私の気まずそうな顔を確認すると、皆、一斉に爆笑。先輩の女子部員は笑いすぎてお腹が痛いのか、額を床に伏せていた。
 
以来、「黒岩テロ未遂事件」として数ヶ月語り続けれることになってしまった。

そんなトラウマを抱えながら、私は14歳の時、家族旅行でアフリカのサファリに行った。象、キリン、シマウマなど、ありとあらゆる動物が、思うがままのところでウンコをしている風景に見とれてしまった。周りの外国人観光客が「おお!象のウンコはでかいな!」と喜んでいた。私は「動物はいいな。どこでも好きな所でウンコができる上に、歓声が上がるのだから」と思った。

そしたら、なんと、アゼルバイジャンで生まれて初めて「どこでもウンコができる」体験をした!5000メートル級の山々が連なり、湖や川が点在しているアゼルバイジャンはアウトドア好きにはたまらない場所。日本でも何度かキャンプをしたことがあった私たち夫婦は、すでに2回、キャンプをした。

日本と違うところは、トイレ、シャワー、炊事場などが併設されている「キャンプ場」がないこと。

適当に景色が良い所を選び、テントを立てる。 山岳地帯には数十人規模の小さな村が数キロおきに点在しているだけで、360度自然の絶景を楽しめる。人と会うのは、たまに羊やヤギの群れを連れる遊牧民と出くわすくらいだ。ウンコをしたければ、トイレットペーパー片手に、アフリカの動物の様に自分のお気に入りスポットで、垂れ流すのだ。

IMG_5692.jpg

IMG_5800.jpg


これまで「ちょっとトイレに」とバツ悪そうに席を立ち上がる必要もない。トイレを探す必要もない。トイレが汚いかなどと心配する必要もない。考えれば考えるほど、人間は「トイレ」に支配された生活をしていると感じる。


「次はどこでウンコをしようか」などと考え始めると、浮き浮き気分になる。ウンコをするのがこんな楽しいことだとは知らなかった。

先週末は、ここに来てから、初めて夫婦水入らずでキャンプをした。首都バクーから車で4時間南下したところにある山中にテントを立てた。ヤギ肉や鶏肉を炭で焼き、食べた後、お楽しみのウンコの時間がやってきた。

キャンプ2

キャンプ3

「どこでやろーかなー?」と妻に尋ねると、妻は「どこでもいいわよ」と答えた。

私は「じゃあ、お言葉に甘えて」と適当な所でしゃがんで始めると、妻の怒鳴り声が。

妻:ちょっと、私の目の前でやらないでくれる?

私:だって、どこでもいいって言ったでしょ?

妻:でも、何も目の前でやらなくたっていいじゃない!

私:ごめん。もう出始めちゃった、、、。

妻:もう。最悪よ!気持ち悪い!

私:でも、地面をみてごらん。牛、ヤギ、羊の糞がそこらじゅうにあるじゃないか。そういう糞は気にならないのに、なぜ、私のは気になるんだ?

妻:あなた、動物なの?

私:人間は動物の一種だよ。

妻:人間は、頭使えるの。他の動物と違って火が使えて、他人に気が配れるの。あなた、動物なら、家の中で寝ないで、外で寝たら?

私:家の中で寝る動物だっていれば、外で寝る人間だっている。君は僕のことを愛しているんだろ。俺のすべてを愛してほしいんだ。

ウンコがたくさん出て、地面とお尻の距離がいまいちわからず、もしかしたら、お尻にウンコがついたらやばいと思い、すり足で、少し前に動いた。

妻:ちょっと!こっちに向かって来ないでよ!

私:だって、たくさん出たから、お尻に付いちゃうかも、、、。

妻:もう、早く家に帰りたい!

私:だったら、ちょっと、離れた所に行ってればいいじゃない?

 結局なんだかんだ言って、妻はその場を離れず、テントなどの後片付けを続け、私は、お尻を紙で拭った。

ウンコはそのままにしようかと思ったが、子どもの頃飼っていた子猫が、ウンコした後に、後ろ足で砂利をウンコにかけていたのを思い出し、「子猫でもウンコを隠すのだから、俺もやろう」とその辺の土を足でかき集めて、ウンコを隠した。

皆さんもどうですか?アゼルバイジャンに来たら、トイレに支配される生活から抜け出せますよ?
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

No title

もう爆笑しながら、涙流しながら読んだよ。
スージンの常識人ぶりとあなたの野生人ぶりが彷彿としてきた。
彼女と一緒に生活できて、いっぱいおしゃべりできて(議論して、か?)楽しそうで幸せそうです。
プロフィール

seventh star 7

Author:seventh star 7
黒岩揺光  
1981年、新潟生まれ。7人兄弟の末っ子。15歳で米国留学して以来、住んだ国は計8カ国に。海外生活計17年。日本では毎日新聞記者、アフリカでは難民キャンプの工場長、アゼルバイジャンで主夫、ジュネーブで国連職員などを歴任。現在は中東ヨルダンで妊娠した妻に寄り添う専業主夫。
 著書に「僕は七輪でみんなをハッピーにしたい」(ユーキャン)「国境に宿る魂」(世織書房)。
メール連絡先 yokuroi×hotmail.com (「×」を「@」にしてください) ツイッター:@YokoKuroiwa

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR