主夫会が地元メディアの取材を受ける


カープ観戦出張を終え、成田空港から14時間(プラス乗り換え5時間)かけて、10月24日午前3時、バクー国際空港に到着。その日は木曜日だったため、家で3−4時間寝た後、午前9時からの主夫会に参加した。

行ってみると、アゼルの英字雑誌の女性記者が、「主夫会」を取材しにやってきた。記者は、ジョーという30代のイギリス人。やはり、欧米でも「主夫」は珍しいのだ。

アゼルは日本と緯度が同じで、外は結構肌寒くなっているのに、ジョーは黒の短いスカート姿で、ソファに座ると、下着が見えそうで、目のやりどころに困った。黒髪でパーマをかけており、整った顔立ちをしている。

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ジョーは一人一人の名前と連絡先をメモし、カメラマンに顔写真を撮影してもらった後、録音機をテーブルに置き、質問を始めた。

こちら側のメンバーはジョン、ハラルド、ロドニー、私、そしてクリス。クリスは40代でノルウェー出身。ハンガリー人の妻がBPで働き、クリスは パソコンでできる仕事(調査会社のバイトなど)をしながら、たまに主夫会に顔を出している。

ジョー:皆さんは、自分のことを「主夫(ハウスハズバンド)」と名乗りますか?

皆:いえ。使いません。

ジョン:元々、私は自分の肩書で自己紹介することがなかった。私はジョンです、っていつも言っていたので。

ハラルド:皆、こういう状況で何ができるのか考えているのだと思います。

ジョー:皆さんはここに来る以前は仕事があったのですか?

ロドニー:はい。コマーシャル製作をしていました。

ジョー:それで、ここに来るために辞めたわけですね?どうやってそれを決心したのですか?

ロドニー:、、。お金のためです。

皆:笑。

ロドニー:妻にとっても良い機会でしたしね。

ジョー:ヨーコーさんは?

私:ケニアで人道援助の仕事をしていました。で、次の就職先を探す際、妻か私か、よりよい待遇の仕事を見つけた方に、別の方が付いて行くという勝負をしたら、私が負けたのです。

皆:笑。

ジョン:私はイギリスでずっとインターネットで不動産情報を提供するビジネスをやっていました。アゼルに来たのは7年前です。

ハラルド:理学療法士の妻がここで診療所を開くので、私はドイツの仕事を辞め、付いてきました。私は美術史家なので、どこでも仕事はできるので、大丈夫です。

ジョー:ここに来る決断は正しかったと思いますか?

皆:はい。

ハラルド:この主夫会を見つけたので、良かったです。

クリス:ノルウェーでは会うことができない、とても興味深い人にたくさん出会えるので、楽しいです。

ジョー:ここに来た時、驚いたことはありますか?

ハラルド:騒音。交通マナーの悪さ。交通渋滞。

ジョン:7年前は、警察に呼び止められることが多かった。ほとんど毎週の様に。色々な理由で罰金を取られました。

ジョー:働かない生活には慣れましたか?アゼルで、新しい仕事の機会などは見つかりましたか?

ジョン:ここに来る前から自営業で自由にやっていましたので、特に、私の生活に大きな変化はありませんでした。

ジョー:ロドニーさんはどうですか?

ロドニー:そんなに大きな変化はありません。5歳の娘がいるので、その子の世話をしています。

ジョー:でも、彼女は学校に行くでしょ?

ロドニー:はい。学校にいくための準備とかで忙しいです。

ジョー:日々の生活リズムはありますか?

私:リズムを作るのは大切です。リズムがなければ、YouTubeを見て一日が終わってしまう(笑)。

クリス:子どもがいたら、それで、一定のリズムが作られてしまいます。学校で何かあったら、それに行かなければなりません。

ジョー:ヨーコーさんは子どもはいないですよね?どんな生活リズムがあるのですか?

私:朝ご飯作って、妻を見送った後、韓国語クラスに行って、昼ご飯作って、韓国語の宿題かブログの執筆をするか。それができない場合は、YouTubeを見続けます(笑)。

皆:YouTube好きだなー(笑)!

ジョー:主夫になって、家事とか育児とか、女性が昔ながらに果たしてきた役割を担うようになりましたか?

ジョン:私の場合は全く変わりない。イギリスにいる頃も、料理するのは私だった。私の妻は、人生で5回くらい料理したことあるけど、どれもひどくまずかった。これは雑誌には書かないでほしいけどね(笑)。

クリス:ここでは家政婦さんがいるから楽ですね。ここに来る前は、私が料理して、妻が掃除をしていましたが、ここでは掃除をしてもらえますからね。私が好きな時に料理をするくらいですね。

ロドニー:すでに妻が料理してあるものを電子レンジで温める仕事はしています。ショッピングはたまにします。
 
クリス:ノルウェーでは共働きで、家族の時間があまりなかった。でも、ここでは、妻だけが働き、家政婦がいるから、家事のことは心配しなくていい。私は自分の好きな時間に仕事をすればいい。だから、家族の時間が大幅に増えた。
ジョー:この主夫会はどうやって始まったのですか?

ジョン:7年前に、妻とカフェに行った時、私と同じ境遇の人が二人いたので、定期的に会うようになりました。

ジョー:アゼルに来て、嬉しい発見はありましたか?

私:最初来た時、週末は妻との時間にしたいので、平日の昼間に会える仲間を探しました。それで、アゼルの生活情報が書かれたガイドブックを読み、毎週金曜日の朝にお茶会が開かれていることを知り、幹事に電話をしました。そしたら、「あなたは男性ですか?この会は女性ばかりなのですが、大丈夫ですか?」などと心配され、行ってみたら、本当に女性ばかりでした。それで、その幹事がこの主夫会と私をつなげてくれました。

ジョー:他の皆さんは、こういった女性の会の活動に参加したことはありますか?

皆:、、、、。特にありません。

ジョン:ハンズが一度行ったことがあったと思う。

ジョー:ワイフが家族の稼ぎ頭になっていることについてはどう感じていますか?

私以外の全員:ノープロブレム!

私:日本では驚かれることがあります。つい先週、日本で兄から「今、お前はスージンに食わせてもらっているのか?」と言われました。私は、「新しい時代を切り開いているのです」と言っています。

ハラルド:私たちはただ、家族にとって何が一番かを考えてやっているだけで、問題は社会が私たちをどう思うかだと思います。

ジョー:社会があなたをどう思うかについて心配したことはありますか?

ハラルド:ありません。社会の中には、肩書や収入で人を判断する人がいることは知っていますが、私はそういう人たちのことを気にしている暇はありません。

クリス:自分にどれだけ自信があるかでしょう。自分のやっていることに自信を持てれば、社会が自分たちをどう思うかなんて二の次になるのではないでしょうか。

ジョン:私は、他の人がどれだけ稼いでいるとか肩書とか気にしません。そういうのを気にする人がいることは知っていますが、その人たちは私の友人ではありません。

私:私は今32歳。妻がこれからここで3−4年働けば、36歳。4年間、ブランクがあって、再就職する時はどうなるのだろうという不安はあります。

ジョン:精神病院に入院してたと言えばいいじゃないか (笑)。

皆:笑。

クリス:私も、妻のここでの契約が終われば46歳。10年間のブランクがあることになる。ノルウェーに戻ってどんな仕事ができるのかわからない。でも、家族にとって何が一番大事なのか考えたら、それはそんな大きな問題じゃない。妻の収入だけでも家族は食べていけるわけだから、私が再就職しなくちゃいけない必然性はないのだから。

ジョン:ここで一つ学んだことは、人生はいつでもやり直せるし、どんなきっかけがあって、どんな方向に進むかわからないということ。ここでは、色々な人が新しいビジネスを立ち上げては、成功や失敗を繰り返している。そういうのを見てたら、人のキャリアって、長期的計画がなくてもやっていけるのではないかと思えるようになった。私も、これまで、何か特別なキャリアがあったわけではないから、イギリスに戻っても、何か売り込めるわけじゃない。でも、おそらく、私ができることが何かしらあるんじゃないかなーと漠然と思っている。

ジョー:アゼルでの生活が終わったら、もう一度、主夫の生活はしたい?

クリス:主夫はもちろんやりたい。妻が大企業で働いている限り、収入は安定しているし、家族との時間が確保できるから。

ロドニー:米国へ戻ったら、前の仕事に戻るか、他の仕事をするのか、その時と場所の状況を考えて、色々考えなくてはならない。

ジョー:インタビューはこれで終わりです。ありがとうございました。

ジョーとカメラマンの女性は去り、ロドニーが「皆何を飲む?」とオーダーを取り、カプチーノ4杯と水をレジで支払い、いつもの雑談を始めた。(持ち回りで支払いを受け持っている)

クリスと会うのは今回が3回目だったが、主夫歴10年とは知らなかった。「アゼルを出た後も主夫を続けるか?」の質問に「もちろん」と即答できたのは彼だけだった。おそらく、ジョンもハラルドもロドニーも、アゼルでの生活を終えたら、仕事をしたいと思っているだろう。私自身、主夫歴10ヶ月になるが、これをいつまでも続けたいとは、どうしても思えない。

主夫歴8ヶ月のロドニーは、クリスの様にスラスラ質問に答えられなかった。例えば、「生活リズム」の質問で、毎日2時間フリスビーの練習をしていることを話さなかった。アゼルに来た当初、ロドニーは私に「友達もできないし、アゼルに来た選択は間違っていたのでは?」とか話していたが、ジョーの「ここへ来る決断は正しかったのか?」の質問には沈黙を保った。

ハラルドはやはり、妻が新興宗教の敬虔な信者で、それが理由でアゼルに来たことは言わなかった。それ言ってくれたら、この取材ももっと面白くなっただろうに、、、。
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プロフィール

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Author:seventh star 7
黒岩揺光  
1981年、新潟生まれ。7人兄弟の末っ子。15歳で米国留学して以来、住んだ国は計8カ国に。海外生活計17年。日本では毎日新聞記者、アフリカでは難民キャンプの工場長、アゼルバイジャンで主夫、ジュネーブで国連職員などを歴任。現在は中東ヨルダンで妊娠した妻に寄り添う専業主夫。
 著書に「僕は七輪でみんなをハッピーにしたい」(ユーキャン)「国境に宿る魂」(世織書房)。
メール連絡先 yokuroi×hotmail.com (「×」を「@」にしてください) ツイッター:@YokoKuroiwa

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