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妻にささげたサプライズパーティー

もう主夫になって1年。なんか、ブログを読み返すと喧嘩ばかりで、ちょっと、仲の良いエピソードも書いておこう。

私が主夫になって間もない2013年1月18日はスージンの30歳の誕生日。それまでずっと遠距離だったため、出会ってから8回目にして、初めて一緒に祝える誕生日となった。(当時はまだケニアにいた)

韓国の女性というのは、男性にロマンチックな愛情表現を期待する。驚いたのは、証券会社に勤めるスージンの友人が海外出張で香港に行った時、滞在先のホテルの部屋に彼氏から花束のプレゼントがあったというのだ。誕生日とかそういう記念の日でもないのに。韓国人って凄いなー。

そこで、私もそんな「ロマンチック」な夫になろうと、友人たちにメールを送った。

「18日はスージンの誕生日で、サプライズをしようと思います。午後7時に私たちの家に集まってください。午後7時半ごろ、私はスージンを連れて、家に帰って来ますので、サプライズで出迎えてやってください。できるだけタクシーで来てください。知っている人の車が駐車場にあるとばれてしまうので」

そして、特に仲のいい友人2人に別途メールを送った。

「私は午後5時ごろ、スージンを家から連れ出します。合鍵を予め渡しておくので、家に入り、掃除をし、午後6時ごろに中華料理の出前が届くので、それをテーブルに置き、他の友人が来たらドアを開けてやってください」

仕事がない私は、このメールを家のパソコンで送らなければいけなかった。スージンに見られたら一環の終わりのため、部屋に鍵をかけて、各友人から来る問い合わせメールに対応していた。そしたら、スージンは「なんで、鍵かけているの?誰かと秘密の会話でもしているの?」と怪しんだ。私は「執筆に集中したいだけだよ」と苦しい弁明をした。

次の難関は掃除だ。基本、私たちは掃除は家政婦さんに任せっきりで、脱ぎっぱなし、置きっぱなし夫婦だ。(ケニア時代は人件費が安く、週に3回家政婦さんに来てもらっていた)どちらか片方が綺麗好きだったら夫婦として成り立たないくらい、散らかし放題だ。さすがに、私がうんこを便器にへばりつけた状態でトイレから出ると、「ちょっとー!!!また、ウンコがついているよ!」と雷が落ちるが、、。

しかし、皿洗いから下着の始末まですべて友人に任せるのも気が引ける。スージンに怪しまれない程度に掃除はしておこうと、皿を洗った。私が皿洗いをするなんて相当久しぶりだったのだが、幸い、スージンは何も聞かなかった。とにかく、何がきっかけでバレるかわからないから、余計に神経を使った。

スージンには「今日は誕生日だから、レストランを予約しておいたよ」と伝え、午後5時ごろに「レストランに行く前に、どこかでお茶をしよう」と、家から連れ出すのに成功した。スージンは「どこのレストランなの?」と聞いてきたが、私は「秘密」と答えた。下手に知っているレストランの名前を出して、「そこ嫌いなの」とか「あれ、あそこって潰れなかったっけ?」とか言われたら面倒だと思った。

午後5時半ごろ、自宅近くのショッピングモール内にあるカフェに入った。その途端、私の視界に想定外のものが入ってきた。3−40人ほどいる客の中に、パーティーに招待している友人のベティーナ(ドイツ人)が、奥の席で知らない友人とお茶しているではないか!ベティーナに話しかけて、「今日、パーティー行くわよ!」なんて話になったら大変だ。勿論、サプライズだということは伝えてあるが、何かの行き違いで伝わっていない可能性だってあるし、一緒にお茶をしている人たちはスージンを知らないわけだから、「今日は誰のサプライズパーティなの?」などと私たちの前で話題にする可能性だってある。

私は、スージンがベティーナの存在に気付かないよう、入り口に一番近い席を選び、スージンがベティーナに背を向ける形になるよう促した。しかし、そんな私の努力もむなしく、数秒後、「あ!ベティーナがいるよ!」とスージンが言う。

私は、「ああ。そうだね」とわざとそっけなく答えた。スージンは「あれ?挨拶しないの?」と当然の様に聞く。ベティーナとは、同じ難民キャンプで1年以上働いた仲で、ベティーナがナイロビに数ヶ月前に異動してから会っておらず、挨拶をしないのは明らかに不自然だ。

私は、必死に平静を装い、「うん。別にいいんだ」とだけ答えた。「彼女とは喧嘩しているんだ」とか言う事もできたが、下手に突っ込まれてもやっかいだ。スージンは「ああ、そうなの」と少し、不思議そうにしていたが、怪しんでいるという感じではなかった。私とベティーナが直接連絡を取り合って定期的に会う友人でもなかったのが唯一の救いだ。

お茶を飲みながら、「これまでの誕生日っていつも離れ離れだったけどどんなことしてきたっけ?」などと、事前に用意しておいた話題をスージンに切り出した。そしたら、私の電話が鳴り、パーティー出席予定者から「あなたの家に着いたけど、誰もいないみたいなんだけど?」というメッセージが届いた。私は、心の中で「ばかやろ!今、俺が電話に出れないことくらい想像してくれよ!」と叫びながら、スージンに「ちょっとトイレ行ってくる」とその場を離れ、「今、スージンといるから、連絡してこないで。私の家にいる友人と直接連絡して」と返信した。時計の針が午後6時45分になったところで、「そろそろ出よう」と会計を済ませた。

さあ、ここからが本番だ。サプライズを成功させるためには、レストランではなく、家に立ち寄る理由を作らなければならない。忘れ物をしたとかいう理由なら、スージンは間違いなく、駐車場で「あなたが取りに行け」と私に言い、3階にある私たちのアパートまで上がろうとはしないだろう。スージンを3階まで自発的に上がらせなければならない。私が数日間、考えて編み出した作戦をいよいよ実行する時がきた。

ショッピングモールの地下駐車場から車を出し、料金ゲートを出た後、私は「あ!レストランのクーポンを家に忘れた。ちょっと家に寄るね」とスージンに言った。「へえ。そんなクーボンがあるんだ」と言い、難なく承諾した。

アパートの駐車場に入りながら、「頼むぞー。スージンが家に入るまで、誰ともはち合いませんように」と祈りながらハンドルを回した。無論、メールではしっかり「スージンは7時ごろに到着するから、その時間帯に来ることは絶対避けて」と伝えていたが、何が起こるかわからない。3階の私たちのアパートはしっかり暗くなっている。誰かが顔とか出してないかしっかりチェックした。

そして、私は、とっておきの台詞を発した。

「スージン。クーボンをパソコンから印刷しなくてはならないのだけど、うまくできないんだ。ほら、俺ってパソコンとか苦手じゃん?スージンがやってくれたらできると思うんだけど?一緒に来てくれない?」

スージンは私の機械音痴をいつも馬鹿にしていた。だから、これならスージンも「嫌」とは言えないだろうと思った。

しかし、予想に反し、面倒くさがりのスージンは少し躊躇し、私に尋ねてきた。「そのクーポンがあるとどれくらい安くなるの?」

「1割」とか言えば、「それだったら、もうレストラン行こう。お腹すいた」と言われそうだ。

私は「5割」と答えた。

スージンの表情は一変し、「え?それは大事ね。何としても印刷しないとね!」とやっと車から降りてくれた。

階段を一つ一つ上がった。何故か、いつもより、段数が多い感じがした。ようやくドアの前まで来て、私が鍵を出して、ドアを開けた。家の中は真っ暗だったが、中華料理のオイスターソースの匂いがぷんぷんしてきた。私は「しまった」と思ったが、もう残り数秒だけの我慢だ。スージンは「何か、中華料理の匂いがするけど、、」と不思議そうな顔をしながら、靴を脱いだ。

リビングへつながる7メートルほどの廊下を歩き、スージンがリビングに足を踏み入れた瞬間、明かりが付き、「サプライーズ!」と15人ほどが壁を背に一列に並んで叫んだ。スージンの同僚、日本人や韓国人の友人らが一同に私たちに視線を注いでいた。

スージンは、「オーマイガッド!!」と両手で頬を抑えた。私は、「完璧!」と友人たちにお礼を言った。スージンは「なんか、、、クーポンがいるとか言われて、、、」と混乱して、うまく気持ちを言葉にできず、私を抱きしめた。

サプライズパーティー

集まってくれた一人一人に感謝し、全員が飲み物を持った所で、私が「皆さん、ありがとうございます。私たちは出会って8年になりますが、今日が私にとって初めて祝うことのできるスージンの誕生日なのです。これからは二人一緒に暮らすことを最優先に考えていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いします」と挨拶。皆から「よくやった!」と褒めていただいた。私は「天空の城ラピュタ」に出てくる様な青い石のネックレスをプレゼントし、スージンは「うわあ。こんなに素敵なもの、ヨーコーから初めてもらったなあ」と再び抱きついて来た。その前の年の誕生日プレゼントは、エクストララージのワンピースで、スージンには大きすぎて着れなかった(汗)。

パーティーは10時頃まで続き、遅れてきた人も含め、30人ほどが祝いに来てくれた。こうやって、私の主夫生活は幕を開けたのだった。どうですか?喧嘩ばかりじゃないでしょ?
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プロフィール

seventh star 7

Author:seventh star 7
黒岩揺光  
1981年、新潟生まれ。7人兄弟の末っ子。15歳で米国留学して以来、住んだ国は計8カ国に。海外生活計17年。日本では毎日新聞記者、アフリカでは難民キャンプの工場長、アゼルバイジャンで主夫、ジュネーブで国連職員などを歴任。現在は中東ヨルダンで妊娠した妻に寄り添う専業主夫。
 著書に「僕は七輪でみんなをハッピーにしたい」(ユーキャン)「国境に宿る魂」(世織書房)。
メール連絡先 yokuroi×hotmail.com (「×」を「@」にしてください) ツイッター:@YokoKuroiwa

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