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劇団「ライフライン」設立

 どうすれば、従業員たちに工場で働くということに誇りを抱いてもらえるのか?文字の読み書きもできない。教育も受けたことがない。元遊牧民で、大きな誇りだったラクダや牛ももういない。20年もキャンプに閉じ込められている。毎日、牛の糞をコネコネしてコンロを作るだけが、生活の糧だ。一体、彼らは、自分の人生に、誇りにできることはあるのだろうか?
と、工場場が悲観的になってはいけない。彼らのやっていることは、コミュニティにとってとても有意義なことなのだ。そもそも、ソマリアには、彼らが作る「かまど」なんてないだろうし、かまどを作れる存在は稀有だろう。つまり、将来ソマリアに平和が訪れた場合、彼らは環境保全運動の最前線に立てる存在なのである。それを、コミュニティが認めてあげれば、彼らも少しは誇りに思えることができるかもしれない。
しかし、私たちのNGO「国際ライフライン基金」の知名度は限りなく低い。工場の前に看板もなければ、車もない。キャンプのリーダーに挨拶に行っても、「2007年から活動しているなんて信じられない」と言われるくらいだ。ダダーブにある25以上のNGOで、もっとも従業員が少なく、予算もないから、仕方ないのかもしれないが、難民の生活に密着した目に見える物を4年間作り続けているのに、リーダーが知らないというのはあんまりだ。どうすれば、50万都市になりつつあるダダーブの住民に、ライフラインの従業員33人の功績を知ってもらうことができるのか?
そこで、先日、インターネットでダウンロードした映画「フラガールズ」を観た時、「これだ!」と思いついた。東北の炭鉱の町が舞台で、炭鉱の需要が激減し労働者が次々に解雇されていくなか、町の女性たちがハワイのダンスチームを作り、地域の活性化につなげた話。
早速、私は「劇団・ライフライン」立ち上げ構想を、従業員たちに話した。劇、歌、ダンスなど舞台関連とは無縁の世界で生きてきた彼らは、少し困惑した表情だった。「誰か専門家に頼んだ方がいいのでは?」「やったことないから、よくわかりません」と言う。「どんな劇をしたら、かまどの重要性を知ってもらえるかな?」と尋ねたら、主任のアデンは「かまどで作ったお茶と、そうでないお茶を用意して、かまどで作ったお茶を飲んだ女性が『おいしい!』と感動する話はどうか?」と言う。私は「うーーん(汗)。単純すぎるし、かまどを使う意義は薪の使用量を減らすことで、味の質の向上じゃない」と答えた。
私が脚本を書こうかと思ったけど、それじゃ意味がない。彼ら自身の手で作るということに意義がある気がした。しかし、誰も、何から手を付けたらいいのか、わからず、このままでは何も始まらない。工場長が何か、起爆剤を仕掛けてやらなくてはならない。そこで、私は「裏技」に出ることにした。二つの工場同士の「競争意識」を利用するのだ。
9月29日、二つの工場の従業員全員を集めた全体会議を開き、そこで各工場の劇団に劇を披露してもらう。外部から審査員を招き、勝敗を付ける。そして、工場Aの従業員には、「工場Bの従業員は、毎日、死に物狂いで練習しているよー。『工場Aに勝つぞ!』と言っているよ」。そして、工場Bには、同様の事を言った。そしたら、効果は覿面!工場Bは、従業員たちで少しずつお金を出し合って、コンサルタントを雇い、劇の脚本を書いてもらい、練習を開始した。工場Aも、劇の経験豊富なエチオピア人のキモを団長にし、就業時間の最後の1時間を使って、練習を始めた。「向こうの工場は、私たちよりも前に練習を始めている!残された時間は少ないから、一生懸命やりましょう!」とキモは声を上げ、他の従業員たちも、キモの指導に耳を傾けていた。
もし、この劇団がそれなりのものになれば、キャンプで開かれる「環境フェスティバル」「難民の日」などのイベントで披露することができる。そうすれば、「ライフライン」の知名度は一気にあがり、従業員もコミュニティから注目されるだろう。これが彼らの「生きがい」につながり、工場の生産活動もさらに上向いてくれればいいのだが。さて、どんな劇が披露されるのだろう。
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プロフィール

seventh star 7

Author:seventh star 7
黒岩揺光  
1981年、新潟生まれ。7人兄弟の末っ子。15歳で米国留学して以来、住んだ国は計8カ国に。海外生活計17年。日本では毎日新聞記者、アフリカでは難民キャンプの工場長、アゼルバイジャンで主夫、ジュネーブで国連職員などを歴任。現在は中東ヨルダンで妊娠した妻に寄り添う専業主夫。
 著書に「僕は七輪でみんなをハッピーにしたい」(ユーキャン)「国境に宿る魂」(世織書房)。
メール連絡先 yokuroi×hotmail.com (「×」を「@」にしてください) ツイッター:@YokoKuroiwa

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