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鍋に豚肉を投げ込む妻、すぐ怒鳴る夫

それは、私たち夫婦の大好物「ほうれん草鍋」を食べているときに起きた。

「ほうれん草鍋」とは黒岩家に代々伝わるもので、だし汁、刻みショウガ、醤油で作った汁に、ほうれん草、豚肉バラ、豆腐などを入れる鍋料理。大体、食べ終わり、スージンがしめのうどんを作ると立ち上がり、「もっと肉入れよう」と薄切り肉を鍋に入れようとした、その時だ。

普通なら、肉を箸でつかんで、汁の中にそっと入れるところだ。しかし、なぜか、スージンは、肉を鍋から30センチほど離れた空中から手で放り投げた。3枚の薄切り肉は、沸騰した汁に「ポチャン」と飛び込み、その反動で、熱い熱い汁は、鍋の外へ数滴飛び出し、奇しくも、箸を持った私の右手に着地。

「あつ!!!」と私は叫び、数千分の1秒内で、頭の中に様々な疑問が飛び交った。

なぜ、沸騰した鍋に豚肉を投げ込む必要があるのか?私の身に危険が及ぶとは想像できないのか?いや、私の身なんてどうだっていいのか?私だったから良かったけど、お客さんとかいたらどうなっていたことか。難民を助ける仕事をしておいて、豚肉を鍋に投げ込んで、夫の身を危険にさらすとはどういうことだ。わからない、わからない、あああーわからないーー。

次の瞬間、「馬鹿かお前は!!!」と叫んでいる自分がいた。

謝る時間さえ与えられなかった妻は叫んだ私を数秒、見つめた。おそらく、「なんちゃって、冗談だよー」という切り返しを期待したのかもしれない。しかし、未熟な私はそれができず、妻を黙って睨み続けた。

よって、妻はそのまま黙りこくり、うどんをゆで始めた。

数分後、いつもの様に反省した私は、「スージーンちゃん、ごめんね。大きな声だしちゃったね」とすり寄るが、「もういいから」と全く受け付けない。

スージンは別のテーブルでノートパソコンで韓国のテレビ番組を見ながら、うどんを食べ始め、私が隣に行くと、「もう、一人にして。あなた部屋に戻って」と言う。

「沸騰した汁が手にかかったから、驚いたんだよ」と弁明するが、「私がわざとやったと思う?なんで、あんなに大きな声だしてもいいの?あんなの、暴力の一歩手前よ。ここ最近、あなたはそういう振る舞いが多いから、いつ暴力沙汰になるのか怖くてたまらない。犯罪よ、犯罪」

2年半前にあった喧嘩の話なども持ち出され、「もうしないからね」と言うが、「いつも、もうしないって言って、またするでしょ!」と言い返される。

スージンが食べているうどんを、私が食べようとすると、「私のうどんだから、食べないで」と拒絶。

何度も「もう1人にして」と言われながらも、私は一生懸命、罪を償おうと頑張った。

20分ほどして、私が「もう、豚のバラ肉に対してトラウマになった。もう豚のバラ肉は食べれないな」と言うと、「なんだそれ、、」とようやく、スージンの表情が緩み始めた。

「スージンは履歴書の『特技』の欄に『豚肉投げ込み』ってかけるよね」と言ったら、「ふざけないで」といいながらもさらに表情が緩んだ。

しかし、すぐ頭に血がのぼるのはよくないな。怒鳴ったところで、次、豚肉が放り込まれる可能性が変わるわけでもないのだから。

しばらく、ほうれん草鍋はやめておこう。
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プロフィール

seventh star 7

Author:seventh star 7
黒岩揺光  
1981年、新潟生まれ。7人兄弟の末っ子。15歳で米国留学して以来、住んだ国は計8カ国に。海外生活計17年。日本では毎日新聞記者、アフリカでは難民キャンプの工場長、アゼルバイジャンで主夫、ジュネーブで国連職員などを歴任。現在は中東ヨルダンで妊娠した妻に寄り添う専業主夫。
 著書に「僕は七輪でみんなをハッピーにしたい」(ユーキャン)「国境に宿る魂」(世織書房)。
メール連絡先 yokuroi×hotmail.com (「×」を「@」にしてください) ツイッター:@YokoKuroiwa

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