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国連を目指す若者が増えないのはなぜか

日本政府が邦人数十人を選抜し国連機関に派遣する選考試験の応募者がピークの1000人から、ここ最近は300人前後と推移している。政府は大学などで説明会を開くなど、広報に力を入れるが、なかなか増えない。

一方で、マイナビが今年6月に発表した2016年卒の大学生就職意識調査では、「行きたくない会社」を聞く質問(二つ選択)で、2001年卒と比べ、「休日・休暇がとれない(少ない)会社」は倍近い27・4%に、「残業が多い会社」は4倍近い11・4%に上った。福利厚生を意識する若者が増えている。

私はこの調査結果を見て「おかしい」と感じた。日本の会社と比べ、国連は休日も取れるし、残業も少ない。私は9時半に出勤し、6時には帰宅。妻も6時半には帰宅。休日は、年間30日の有給休暇が取れ、私はその内の18日+土日・祝日を使って、先月、1ヶ月間の休みをもらった。

福利厚生もしっかりしている。年金手当もいい。子供の教育費も22歳まで学費の75%を出してくれる。つまり、大学卒業までの教育費の大部分を出してくれるのである。(詳細はここをクリック

じゃあ、なぜ、これが応募者増につながらないのか?国連が一般の就職先候補として選択肢にあがらないといえば、そうなのかもしれないが、じゃあ、なぜ、国連が就職先として一般化されないのか。

国連で働く日本人の体験記は、様々なサイトや雑誌で発信されている。そこで、よく、「国連で働く魅力は何ですか」という質問がされるのだが、「休みが取れるから」「残業少ないよ」とか福利厚生的な答えを出す人は少ない。他の国連機関で働く知り合いのMさんも毎日午後6-7時には帰宅し、家族との時間を大事にしている。男性だが、1ヶ月の育児休暇もしっかり取った。私と一緒にご飯を食べる時は、「国連で働くと、毎晩夜10時とか11時とかまで働く日本の生活にはもう戻れないですよね」とよく言っている。

しかし、そのMさんも、あるサイトの国連体験記に取材された際、働く魅力を聞かれ、「全職員が同じ使命に向かって働いていること」などと答えている。確かにそれが魅力なら、それでいいのだが、なぜかそこには、本音と建前的なものを感じてしまう。

開発とか人道援助に従事する者が、「休み」とか「残業したくない」とか言ってはけしからんみたいな雰囲気。東京でサラリーマンやっている兄は毎晩残業。私の勤務時間を告げると、「お前が仕事しないことで、死んでしまう難民の数が増えたりはしないのか?」と言われた。そんなこと言われたら、日本で毎年4-5000人交通事故で亡くなる人のために、警察の交通課職員は、四六時中仕事をしなければいけないのか?それによって、その職員の家族関係や友人関係にヒビが入り、交通事故犠牲者が減る代わりに、他の理由で亡くなる人(例えば自殺者)が増えたりはしないだろうか?

確かに、国連職員でも、毎日残業して、休日にも出勤するような人はたくさんいるが、私がこれまで出会った、その様な「ワーカホリック(労働中毒者)」に占める日本人率は極めて高い。

私だって、世界平和のために、情熱や使命感を持った若者たちが国連に来てほしい。でも、その情熱で、彼らの家族や友人と過ごす時間を犠牲にはしてほしくない。それに、そういった情熱や使命感を発揮できる場所は国連だけじゃない。家族のために料理、洗濯するのだって、近所の福祉施設で働くのだって立派な社会貢献である。

私にとっての国連の魅力は多様な価値観が尊重されること。私が勤めるUNHCRは、女性幹部職員が全体の4割を占める。幹部職員には同性愛者も多い。そしてその多様性を支えているのは、様々な「働き方」への尊重であり、その一環に充実した福利厚生、休暇制度がある。だから、休日が多いことや残業が少ないことを、もっともっと胸を張って宣伝したらいいと思う。それこそが多様性の尊重の証なのだから。
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プロフィール

seventh star 7

Author:seventh star 7
黒岩揺光  
1981年、新潟生まれ。7人兄弟の末っ子。15歳で米国留学して以来、住んだ国は計8カ国に。海外生活計17年。日本では毎日新聞記者、アフリカでは難民キャンプの工場長、アゼルバイジャンで主夫、ジュネーブで国連職員などを歴任。現在は中東ヨルダンで妊娠した妻に寄り添う専業主夫。
 著書に「僕は七輪でみんなをハッピーにしたい」(ユーキャン)「国境に宿る魂」(世織書房)。
メール連絡先 yokuroi×hotmail.com (「×」を「@」にしてください) ツイッター:@YokoKuroiwa

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