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自粛ムードに屈しない子どもになってほしいー熊本地震と自粛ムード

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熊本地震で日本全体にイベントやテレビ番組中止の自粛ムードが広がっているよ。自粛すべきかしないべきか、ネットで交わされる熱い議論を見て、ウェムには自粛ムードに屈しない子どもになってほしいと強く願う。

そもそも、議論は自粛すべきか否かではないと思う。問われるべきはどんな「自粛」が適当か。ほとんどの人が、被災者の葬式でポップソングを歌わない「自粛」は適当だと思うけど、熊本地震をうけて、プロ野球の試合をすべて中止にしろという「自粛」はいきすぎだと思うはずだ。

じゃあ、どんな自粛が適当なのか。お父さんは、あくまで当事者の視点に立つべきだと思う。葬式でポップソングを歌ってはいけないのは、参列者の気分を害さないためで、100メートル離れたカラオケボックスならいいと思う。CM、イベント、テレビ番組中止は、いきすぎた自粛だと思う。確かに、被災者の方たちが見たら気分を害す可能性は否定できないけど、少なくとも、被災者にはイベントに出ない、テレビをつけない、CMがない番組を選ぶという「選択」がある。でも、葬式で歌われたら、参列者にそれを聞かないという選択はないよね。

お父さんとかお母さんが働く難民支援の現場では、常にこの「自粛」という言葉と格闘になる。例えば、ソマリアというアフリカの国で干ばつという災害があって何千人、何万人が亡くなった。お父さんが働いていた難民キャンプには毎日1000人の人が助けを求めてやってきていた。そのうちの多くが栄養失調で亡くなり、キャンプの墓場は大きくなるばかりだった。

そんな大災害が起きている中、支援者であるお父さんは、国連やNGO職員が暮らすキャンプ内にあるテニスコートで、毎日1時間テニスをしていた。その光景をある国のメディアが映像に取ろうとした。「大飢饉の最中、支援者テニスに没頭」という大見出しで報じたかったのだろう。

お父さんがいたダダーブというところは、治安が悪くて、家族同伴は許されない。塀に囲まれたキャンプ内で日中の大半を過ごさねばならなかった。気温40度。毎日仕事に追われ、精神的に疲れてダダーブを去る支援者も何人かいた。そんな過酷な状況で、何かしら運動をしないと、お父さん自身も精神的にやられてしまう恐れがあった。そしたら、難民に支援もできなくなる。結果、お父さんがテニスを自粛することで、お父さんも難民も苦しむことになる。

そんな難民キャンプに日本の有名音楽グループがイベントをしに来たことがあったけど、その時、自粛なんて言葉は一切なかったな。熊本の被災者の方たちと同様の苦しみを味わっている人は世界にたくさんいる。日本国内を含めてね。日本では、1日平均して、熊本地震で亡くなった人よりも多くの人が自ら命を絶っているんだ。だからね、テレビのバラエティー番組を見て「うちがこんな不幸なときに騒ぎやがって」と、視聴者の気分を害すリスクは常にあるんだ。

この行き過ぎで、非論理的ともいえる自粛ムードは、長期的にみたら、私たち自身の首を絞めることになりかねない。人道支援に何年か携わって感じたことは、災害時に人を助けるシステムって、まだまだ発展途上で、色々な分野の人がアイデアを出し合って、より良いものを構築していかなくてはならないと思う。でも、売名行為と言われるのが怖くて「熊本地震のためにこんなことやりたい!」って言えない人がいるのだとしたら、システム構築の機会を失うことにもなりかねず、それは日本全体にとってマイナスだよね。

だから、被災者の気分を害さないような自粛は必要だけど、過度な自粛ムードに対しては屈しない、芯の強い人間になってほしいね。
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seventh star 7

Author:seventh star 7
黒岩揺光  
1981年、新潟生まれ。7人兄弟の末っ子。15歳で米国留学して以来、住んだ国は計8カ国に。海外生活計17年。日本では毎日新聞記者、アフリカでは難民キャンプの工場長、アゼルバイジャンで主夫、ジュネーブで国連職員などを歴任。現在は中東ヨルダンで妊娠した妻に寄り添う専業主夫。
 著書に「僕は七輪でみんなをハッピーにしたい」(ユーキャン)「国境に宿る魂」(世織書房)。
メール連絡先 yokuroi×hotmail.com (「×」を「@」にしてください) ツイッター:@YokoKuroiwa

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