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どこまでが「自己責任」?

11月5日午前、ダダーブの難民キャンプへの道路沿いで地雷が発見された。幸いけが人はなかった。11月6日、ダダーブから100キロ離れた都市・ガリッサの教会に手榴弾が投げられ、2人が死亡した。高さ2メートルの金網の塀で囲まれた国連敷地内にいることさえ安全と言えなくなった状況で、怖くて眠りに就けない友人まででてきた。ここまで治安が悪くなった中で、支援活動を継続していると、2004年にイラクで人質に取られ、解放後「自己責任」と国内で批判を受けた日本人たちを思い出してしまう。

 当時、大学院生で冒険心に満ち溢れていた私は、日本人はなんて冷たいのだろうと思っていた。でも、今、実際に現場で活動してみると、「人の好奇心や冒険心は批判されるべきでない」なんて単純な感情だけで、あの事件を分析すべきじゃないことがわかる。

 10月13日にスペイン人女性二人が連れ去られた直後、活動を一時停止したり、一部の従業員をナイロビへ退避させるNGOが続出。別のNGOでインターンをしていた大学生の友人(19歳)もナイロビへ一時退避した。友人は「1週間くらいして、治安が大丈夫そうだったら、帰ってきます」と、ダダーブへ戻る気満々だった。

 確かに、一度始めたインターンを途中で辞退するのは無念だろう。私が19歳だったら、おそらく同じことを言っている。しかし、残念ながら、私はもう19歳ではない。友人よりも10年以上の人生経験を積んだ者として、私は三つの点を挙げ、冷静に考えるよう促した。

1. 自分がダダーブにいるか、いないかで、難民の人たちの生活がどれだけ向上するのか?
2. 援助関係者2人が人質に取られて多くの団体が活動自粛を迫られ、もし、また別の援助関係者の身に何か起こった場合、さらに多くの支援活動が停滞し、難民の人たちの生活にどれだけ悪影響が出るか?
3. インターンとして、ダダーブで積む経験は、果たして違う場所で積むことはできないのか?

 結局、友人はダダーブに戻ることはなかった。

 果たして、自分の場合はどうなのか?「3」に関しては、友人同様、ダダーブである必要は特にない。コンロを必要とする人はいくらでも他の所にいる。「2」に関しても同様、私が人質に取られた場合、支援活動には大きな影響が出る。問題は「1」だ。工場で作られるコンロは、料理に使う薪を節約できるというだけで、薬や食料と違い、それがなかったら、難民の人たちの生活が一段と向上するわけではない。

しかし、工場は35人の難民を雇用している。その多くは、文字の読み書きができない、他で就職口を探すのが難しい人たちだ。キャンプで配布される食糧が十分でない以上、難民の人たちは、生活を送るために、何かしらの現金収入を得なくてはならない。しかし、35人のために自分の命を懸けられるか、と問われれば、自分にも家族がいる。
 
問題は国連の敷地内にいることがどれだけ安全なのか。でも、それは、はっきりした答えはない。今回の人質事件を受け、日本政府は、ダダーブ難民キャンプの治安の警戒レベルを一段階引き上げたが、まだ「避難勧告」まではいっていない。国連職員も何人かは休暇や出張で、自発的にダダーブから一時離れるようになった。

 私は本部にメールを出した。「ダダーブの国連敷地にいることが安全でなくなり、私たちの活動が、ほとんど難民たちだけでできていることを考えたら、私がダダーブに今常駐する必要はないのではないでしょうか?ナイロビに拠点を一時動かし、出張ベースでダダーブに月2~3回訪れ、活動を視察するという風にはできないでしょうか?」

 活動をすべて一時停止することもできる。でも、それは、従業員たちの収入源を取り上げてしまうことだ。これまで色々な問題が起き、彼らだけで工場を稼働させるのは不安があるが、こういう時だからこそ、逆にライフラインの強みを発揮できる時だ。今回の治安悪化を受けて、新しくアシスタントとして雇ったモウリドは、まだ2週間しか経っていないが、ものすごい速さで仕事を覚えていっている。彼らならできる。

 本部は「了解」とすぐ返事をくれた。とにかく、これ以上、治安が悪くならないことを祈るばかりだ。いや、逆に、もしモウリドが暫定工場長としての手腕を発揮して、本当に難民だけでこのNGOの活動が継続できたら、それはそれで画期的である。本部から「君の人件費は無駄だった」なんて言われたらどうしよう、、、。
 
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プロフィール

seventh star 7

Author:seventh star 7
黒岩揺光  
1981年、新潟生まれ。7人兄弟の末っ子。15歳で米国留学して以来、住んだ国は計8カ国に。海外生活計17年。日本では毎日新聞記者、アフリカでは難民キャンプの工場長、アゼルバイジャンで主夫、ジュネーブで国連職員などを歴任。現在は中東ヨルダンで妊娠した妻に寄り添う専業主夫。
 著書に「僕は七輪でみんなをハッピーにしたい」(ユーキャン)「国境に宿る魂」(世織書房)。
メール連絡先 yokuroi×hotmail.com (「×」を「@」にしてください) ツイッター:@YokoKuroiwa

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