2011年打ち上げワークショップ

12月15日は、今年の締めくくりとして、合同ワークショップを開き、その後、特別にヤギ一匹(約7000円)を市場から購入して、ご馳走を従業員にもてなした。
 ワークショップは、まず工場Aの従業員たちによる劇・歌で幕を開けた。「ライフライン」が障害者も差別することなく、雇用したり、コンロを配ったりする様子を劇で演じ、皆拍手で盛り上がった。前回の劇より、従業員たちが楽しそうに演じているのが、何より印象的だった。
 そしたら、工場Bの従業員たちは「劇をするなんて、指示されていません!」と不満を漏らしてきた。私は、「工場Aは、私に言われて劇をしているのではない。自分たちで決めて、練習してきたのです。私は、この定期ワークショップはあなたたちのためにあるもので、あなたたちに何をするか決めてほしかった」と伝えた。今回は私が司会を務めたが、次回からは、従業員の中に実行委を作り、司会・進行をすべて任せられるようにしたかった。
 
 次に、9~12月の間で入って来た新しい従業員5人が挨拶。そして、私が「ハナムから皆さんにうれしいニュースがあります」と促し、ハナム(30歳、女性)が「11月に新しい子供が生まれました。『ヨーコー』と名付けました」と話した。

「他に、うれしいニュースがある方?」と参加者に尋ねると、右足に障害を持ち、11月から工場Aの従業員になったアフメッド(35歳・男性)が「私はこの難民キャンプに来て7年になります。ずっと職を探してきましたが、足の障害があって難しかった。11月にここに就職して、先月末、初めて給料もらって、とても嬉しかった」と大きな声で発表し、会場は拍手喝さいに包まれた。

アフメッドは、私が障害者支援のNGOに「手さえ使えればできる仕事はあるので、足に障害を持った方を雇用させてください」とお願いして、送られてきたのだ。毎日、汗だくになりながら、レンガの運搬作業にいそしんでいる。

 次は各工場の主任からの活動報告。

 9~11月の成果。

1. ライフラインのTシャツが配られた
2. ライフラインの看板ができた
3. 各従業員に就業に関する契約書が配られ、サインした
4. コンロの質が上がった

 課題。

1. 環境やコンロに関して従業員の研修がもっと必要
2. レンガが足りない

これからの目標

1. 新しい工場を三つめのキャンプに作る

私は、「ありがとうございました。一つ質問ですが、成果に挙げられた4点は、誰がやった成果ですか?」従業員たちは「工場長です」と答えた。

「そうですね。課題に関しても、目標に関しても、すべて私が関わることで、従業員の皆さんがどうこうできる問題ではありません。私は、できたら、皆さんが出した成果を聞きたい。皆さんの中にある課題、そして皆さんで達成可能な目標について考えてほしい」

と、伝えると、1人の女性従業員が「私たちは工場長の言う通りにやってきました。それ以上、何を望むと言うのです?」と尋ねて来た。確かに、私が工場長になって半年、就業規則を作り、罰則を厳格にし、従業員たちは目標生産数達成のため、努力してきた。それでも、工場長に指示された以外の部分で、従業員の主体性で挙げた成果もあるはずだ。

その女性が「どんな例があるのか、教えてほしい」と言ってきたので、私は「どうですか、皆さん。皆さんで達成可能な目標や成果はどんなものがあるでしょう?」と尋ねた。

工場Bの副主任のアブデュラヒが「来年は、ニーズ調査のやり方を変えたい。どの住居地区に行けば、最もコンロを必要としている人にコンロを配ることができるのか、新しいシステムを作りたい」と言った。

私は、「こういうのが従業員だけで達成できる目標の良い例ですね」と伝えた。

難民キャンプで20年過ごすというのは、過保護の両親の下で20年暮らすようなものだ。住居、食べ物、医療、教育、すべて無料で提供されてきた。私も7人兄弟の末っ子で、とにかく甘やかされた。泣けば、机やゲームを買ってもらえたし、行きたいレストランに連れて行ってもらえた。そんな甘えん坊に育てられたため、自分の性格に嫌な部分があれば、それはすべて親のせいにする子供だった。

キャンプの難民も同じようなところがある。昨年、国連で働いていた時、難民の若者のイベント実地後、若者たちに課題を尋ねると、「NGOの人たちの支援が足りなかった」「NGOの人たちが時間通りに来てくれなかった」などなど、すべて支援団体を非難するもので、自分自身の中にある課題について語ることはできなかった。(『若者』と言っても、ほとんどが25~30歳くらいの成人である)

私の従業員も同じだ。すべて、ライフラインという団体がやってくれるものだと思い込んでいる。自分たちでできることについて考えた事がない。

 自分たちの課題が見えなければ、成長することは難しい。そして、いつの日か、難民キャンプが閉鎖された時、一体、彼らは誰を非難することができるのだろう。次のワークショップは来年3月。次は従業員のアイデアがどれだけ出てくるのか、楽しみだ。
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プロフィール

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Author:seventh star 7
黒岩揺光  
1981年、新潟生まれ。7人兄弟の末っ子。15歳で米国留学して以来、住んだ国は計8カ国に。海外生活計17年。日本では毎日新聞記者、アフリカでは難民キャンプの工場長、アゼルバイジャンで主夫、ジュネーブで国連職員などを歴任。現在は中東ヨルダンで妊娠した妻に寄り添う専業主夫。
 著書に「僕は七輪でみんなをハッピーにしたい」(ユーキャン)「国境に宿る魂」(世織書房)。
メール連絡先 yokuroi×hotmail.com (「×」を「@」にしてください) ツイッター:@YokoKuroiwa

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