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在ケニア大使館ホームページ掲載記事

この度、在ケニア大使館から取材を受け、HPに掲載されました。以下が記事です。


国際協力に興味を持ったきっかけ

 私は7人兄弟の一番下で, 中学時代, 兄姉よりも成績が悪いことにコンプレックスを抱き, 毎週末, 競馬場に新幹線で通う非行少年でした。当時から, 今と変わらない老け顔だったので, 競馬場の職員から注意されることは滅多にありませんでした。

学歴社会から逃げ出そうと, 15歳でアメリカに留学したのですが, 今度は競馬場ではなく, カジノクルーズに通うようになってしまいました。

20歳で転機を迎えます。旧ユーゴスラビアを放浪した時, 生れて初めて「難民」に出会いました。彼らの境遇は, アメリカに留学して, 言語の壁にぶつかるなど苦しい想いをした自分と何か重なる物を感じ, 難民問題に傾倒するようになりました。



勤務している「International  Lifeline Fund」(ILF)とはどのようなNGOか

 「ライフライン」とは, 日本語で,海で溺れた人を助ける時などに使う「命綱」という意味です。溺れた人が助かるためには, 命綱を渡す人も, 溺れた人も, 両方が綱を掴み, 引かなくてはなりません。援助する側が一方的に支援するのではなく, 支援される側の努力があってこそ「支援」とは成り立つ, という団体の考えです。
ILFが活動するダダーブ難民キャンプは, ケニア北東部, ソマリアとの国境沿いに位置し, 約46万人(2011年11月現在)の難民が暮らす, 世界最大の難民キャンプです。

キャンプでは, 食糧, 医療, 教育などが無料で提供されており, ILFは, ここで, 「改良かまど」を毎月1000個製造する工場を運営しています。乾燥地帯のダダーブでは, 一般の女性は週約20時間, 薪を集めるために周辺を歩き回ります。そこで, 武装集団に襲われる事も少なくありません。かまどは, 女性たちが料理する際, 薪の使用する量を約3割減らす効果があり, 難民の生活向上だけでなく, 森林保全にも貢献します。

「難民ができることは難民自身で」をモットーに, 私以外の従業員35人はすべて難民です。かまど製造だけでなく, 研修, 物資の調達, 報告書作成など, ほとんどすべて彼らだけで担っています。



ILFに入った動機

 私はILFに今年5月に入ったのですが, それまで1年間, 同じキャンプで, 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の若者支援担当をしていました。20年前に設立されたキャンプには, 高等学校を終え, 英語, スワヒリ語, アラビア語を使いこなす, NGOで働く優秀な若者がたくさんいます。彼らをコミュニティのリーダーとして育成し, 将来, 祖国が平和になった時, 復興を担う人材として育てるため, スピーチコンテスト, ユースフェスティバルなどを一緒に企画しました。

しかし, キャンプには10万人以上の若者がいるのに, そういうイベントには, なぜか, いつも同じ若者が集まるのです。それで,今年2月, 私たちは若者の実態調査を行いました。18歳から35歳までの男女1300人にアンケートを配ったのです。

 結果は驚くべきものでした。2割が高等学校を卒業している一方,2割は文字の読み書きすらできない。そして,「NGOや国連の訓練や研修を受けたことがあるか?」という問いに,高等学校卒業者の9割が「Yes」と答えたのに対し,文字の読み書きができない人に限れば, たったの1割でした。私たちが若者に向けて行ってきた支援が, 一番支援を必要としていない, エリート層の若者に集中していたのです。

 ILFの工場は35人の従業員のうち,8割が文字の読み書きができません。6割は女性で, 高齢者, 障害者, 孤児, 性的暴力の被害者や元セックスワーカーなどがいます。社会的弱者の集まりが, 難民キャンプで一つの工場を稼働しているということにドラマを感じました。



日々の仕事内容

 工場の生産性を高めるため, 従業員の監督・指導・人事が主です。私が働き始めた当初, 従業員による横領, 偽りの報告書作成, 職員同士の対立, 2カ月間の無断欠勤など, 規律の乱れは顕著でした。就業規則を作り, 規則違反に対しては解雇や停職処分などを出し, また 一生懸命働いた従業員には特別報酬を与える成果主義を導入しました。従業員同士のトラブルについては, ミーティングを開いて, 徹底的に話し合いをさせました。

 また, 1年以上工場で働いているのに, 「改良かまど」を配布する意義について, 知らない従業員がたくさんいることにも驚かされ, 研修プログラムを組んで, かまどと環境の関係について教えました。そして, 「君たちが祖国に戻った時, 環境保全分野でリーダーになることがILFの夢です」と何度も伝えました。

9月には, 従業員で劇団を結成し,かまどの重要性を伝える劇や歌を作りました。キャンプでは, 「環境の日」「難民の日」など,頻繁に大きな行事があり, そこで, 彼らの劇や歌を通して, 従業員とコミュニティの繋がりを深められたらと思います。



国際協力に関心がある人に向けて

 場所を問わず, 率先して色々な人と友達になってください。自分が苦手だな, と思う人とは特に。国際協力は, 多種多様な職種・現場がありますが, 誰しも通らなければならない難関は, 異なる文化の人と信頼関係を作るということだと思います。どんなに素晴らしい知識・経験があったとしても, 同僚や受益者と信頼関係を作れなければ, その知識・経験を活用することは難しいです。そして,信頼関係構築というのは, その人の仕事の能力とは関係のない部分, ユーモア, 思いやり 謙虚さ, などなどが大きく作用します。

後は, 人に「伝える」という力を鍛えてほしいですね。「国際協力」と言うと, 一般の人は少しかけ離れた世界に聞こえるかもしれません。しかし, 私が現在している職務内容は, 日本の片田舎の町工場の工場長がしていることと,共通する部分が少なくないと思います。私の父は, 故郷の新潟で国際協力とはかけ離れた仕事をしていますが, 従業員を監督するという部分で共通点があり, 色々アドバイスをもらっています。私たち現場にいる人たちが, わかりやすく仕事内容を情報発信していけば,「国際協力」という単語が一般の人にも身近になっていくのだと思います。

http://www.ke.emb-japan.go.jp/ganbaru8.html
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プロフィール

seventh star 7

Author:seventh star 7
黒岩揺光  
1981年、新潟生まれ。7人兄弟の末っ子。15歳で米国留学して以来、住んだ国は計8カ国に。海外生活計17年。日本では毎日新聞記者、アフリカでは難民キャンプの工場長、アゼルバイジャンで主夫、ジュネーブで国連職員などを歴任。現在は中東ヨルダンで妊娠した妻に寄り添う専業主夫。
 著書に「僕は七輪でみんなをハッピーにしたい」(ユーキャン)「国境に宿る魂」(世織書房)。
メール連絡先 yokuroi×hotmail.com (「×」を「@」にしてください) ツイッター:@YokoKuroiwa

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