それは「かまど」でなく、「七厘」だった

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 講演会の数日前、正月に家族で実家で集まった際、「果たして、揺光がちゃんとした講演ができるのか?」という不安の声が兄姉から上がった。悲しいことに、何歳になろうが、弟は弟。常に子供扱いされる。そこで、ミニ発表を兄姉の前でやり、発表のコツを伝授することになった。

 パソコンの画面で写真を見せながら話していくうち、これまでブログで「かまど」や「コンロ」と表現してきた物を写真で見せた瞬間、兄から「これ、七厘(しちりん)だ」と指摘された。外国生活11年になる私は、これまで「七厘」という言葉を知らず、早速、広辞苑で調べてみた。

 そしたら、なんと!!!

 七厘の語源が「わずか7厘(重量単位)の重さの木炭で十分な火力を得ることができたことから」と書いてあった。

 私たちがダダーブで、難民が料理する際に使う薪の量を3割減らすためにしてきた活動が、そのまま表記されていたのだ。これまで、私たちが作っている物を表記する適当な言葉が思い当たらず、ブログ読者から「何を作っているのかイメージが付かない」というクレームが届いていた。

 しかし、表記の問題はこれで解決した。ウィキペディアによれば、「七厘」は日本独自のもので、江戸時代から、「少ない木炭消費で安全に長時間の煮炊きが出来るよう、町人文化の中で生まれ工夫改良されてきたもの」だという。

 米国NGOに所属し、「改良かまど」という耳慣れない物を作り、日本人には説明しにくい活動だと思っていた。しかし、祖国の先代の人々が、限られた資源を最大限に利用するために知恵を振り絞って作った「七厘」を、私が、今こうして、ソマリア難民に配っているということに、何か運命的な物を感じ、仕事が一層好きになった。
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プロフィール

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Author:seventh star 7
黒岩揺光  
1981年、新潟生まれ。7人兄弟の末っ子。15歳で米国留学して以来、住んだ国は計8カ国に。海外生活計17年。日本では毎日新聞記者、アフリカでは難民キャンプの工場長、アゼルバイジャンで主夫、ジュネーブで国連職員などを歴任。現在は中東ヨルダンで妊娠した妻に寄り添う専業主夫。
 著書に「僕は七輪でみんなをハッピーにしたい」(ユーキャン)「国境に宿る魂」(世織書房)。
メール連絡先 yokuroi×hotmail.com (「×」を「@」にしてください) ツイッター:@YokoKuroiwa

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