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従業員による初めてのボイコット ―第三話―

2月3日深夜、ナイロビの自宅で悪夢にうなされ目覚めた。こんなことは何年振りだろうか。どんな悪夢だったかは覚えていないが、「プリーズ!」と叫びながら、ベットから起き上がり、我に返った。 工場長になって8ヶ月。従業員が全面ストライキに入ったことは、自分が意識している以上に、精神的ショックになっているようだ。

自分は最悪のシナリオを思い描いていた。 昨年12月、ソマリアの首都、モガディシオで活動する援助団体から解雇されたソマリア人が、元上司のベルギー人を射殺した。ここまで直接の危害は免れたとしても、 従業員が、難民キャンプの長老に報告し、キャンプ住民から「ライフラインは出て行け!」と言われることだってありえる。

2月4日は、妻の友人が韓国から遊びに来ており、ナイロビ市内を案内していた。ストライキに入った工場をほったらかして、ナイロビに来るのは工場長としていかなものかと思うが、2月6、7日と、七厘に関する国際会議がナイロビで開かれるため、2月3日の飛行機でナイロビに来ていた。

ナイロビにある、ゾウの孤児園へ友人を案内し、多くの西洋人観光客に混じって、赤ちゃんゾウがミルクを飲んでいる姿を眺めながら、工場の事を考えていた。モウリドは「朝八時からミーティングをして、うまくいけば、九時から、仕事を開始させるようにします」と言っていた。果たして、物事がそんなにうまく進むのだろうか?

午前11時になっても連絡がない。11時半、モウリドに「どうなった?」と携帯メッセージを送った。「後で、メールで報告させてください」という。モウリドの思惑通りに進んでいないことを察した。

午後5時、自宅に戻り、メールチェックをしたら、モウリドから報告書が添付されていた。

「今日、従業員と話してわかったことは、彼らの中に、工場長に対する積もりに積もった不満があったということでした。今回のラホの件だけを話そうと思っていたら、従業員たちは、次から次へと、工場長がライフラインに入ってからを遡って、話し始めました。

彼らは、工場長が入って直後に二人の従業員を停職処分にし、それからもずっと対応が厳しいと言っていました。ラホも、工場長が工場に来ると、事情を聞かずに様々なミスを指摘され、信頼されていないと感じると言っていました。他の従業員も、たくさんレンガを生産しても、褒めてもらえず、一方で、細かいミスに関しては徹底的に批判してくることに不満を感じています。

工場長が不在中も、しっかり仕事をしたのに、全く信頼されている感じがしない。一生懸命仕事をしても、工場長は工場の内部に密告者を作り、従業員間に不信感を生ませる。

木曜日のミーティングでも、工場長はとても怒っているようで、従業員たちは工場長の対応に恐怖を感じたとの事です。

だから、従業員全員がお互いを信頼しあって働き合えるようなシステムを導入してもらわないと、この工場では働くことができない。もし、システムができないなら、ライフラインから別の人を連れて来て、問題を解決してほしい、と要求しています」

私は、二度、ゆっくりと読み返した。今回のラホとの対立はストライキの引き金になっただけで、実際の問題は、もっと根深いところにあったということだ。

私は、早速、モウリドに電話をした。

私:報告書、読んだよ。ありがとう。私に対する不満が、かなり溜まっていたということだね。
モ:はい。
私:残念ながら、今、ダダーブに行って、彼らと話し合う事ができない。どうすればいいだろうか?
モ:メールで、工場長の思いを書いてもらえば、それを、私が彼らにソマリア語に訳して伝えますよ。
私:わかった。とにかく、早くしなくてはいけないね。
モ;はい。今日中に送ってもらえれば、明日にでもそれを伝え、すぐに、仕事再開できると思います。
私:従業員は、彼らなりに一生懸命やってきたのだよね。二日前に、君からもらった月間報告書を見たら、1月は、七厘が1100個も配布されていた。これは、ライフラインの歴史上、最高の数だよ。私は、褒めてやることを怠ってきたのかもしれないね。
モ:工場長は、ライフラインの良いところは、読み書きのできない人や、障害を持っている人など、社会的弱者に雇用の機会を与えていることだと強調してきました。従業員はそれは理解できるのですが、だったら、弱者に対して、もって、優しく対応してくれてもいいのではないか、と思っているようです。
私:そうだな。木曜日の彼らに対する私の話し方は、そういった配慮に欠けていたかもしれないね。
モ:このまま彼らを解雇したら、キャンプ全体からの反発は免れないばかりか、「弱者に寄り添うライフライン」、というメッセージの説得性も一気に失われます。
私:うん。とにかく、自分の思いをメールに書くよ。それを、まず、君が読んで、彼らが納得してくれるかどうか、助言してくれないか?
モ:わかりました。それでは、メールが来るのを待っております。
私:ありがとう。

 私は、早速、机に向かい、キーボードを打ち始めた。この8ヶ月間の思いを、一つ一つ、わかりやすく綴り始めた。
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No title

プライドばっかり気にする人種・・・・・・・・・

仕事は、しっかりして当たり前。


仕事の厳しさを、従業員は理解すべきで、また、大変だけど、今我慢して、がんがったら、あとで、その分、自分に返ってくる、という先をわかっていないのかもしれません。


そして、チームで動いている、その引率している彼女が、GRPを彼女のやり方でまとめているんだろうけど、彼女の個人的陥入が入りすぎている気がします。


褒めてあげることも、大事だとは思いますが、間違いの指摘をすること、それを受け入れて改善すること、それも、仕事の1つだ、ということ。
また、タイトル持ちであるなら、なおさら、模範にならないといけない点。


この部分を、国を超えて理解してもらえれば・・・・・・ね。



私も、以前の会社で、いろいろ、同じような問題があって、大変だったので、今の苦労わかります。
私も、同じく、悪夢をみました~笑


酒飲んで、飲酒運転して空港にお客さんを迎えに来て、しかも遅刻してきたドライバー。
この時点で、もう、私、キレまくってた・・・・・
そこから、会社も、それを隠そうとして、一番上の上司には報告もださず、マルクおさめるようなミーテインぐ。なおかつ飲酒のドライバーからは何1つ謝罪、今後改める、などの話はなかったからね~。
常識を超えた、最低な出来事だったよ。

空港に、その遅刻して飲酒で現れたドライバーを、わかったうえで登場させた、オペレーターにも、話したら、”ここだけの話にして、黙ってってほしい。今使えるドライバーは、こいつしかいないんだよ~”

部長クラスの人は、ミーティングでは、”起きたことは、もう綺麗に忘れるんだ。”って言われたし。
その飲酒ドライバーは、話をすり替えて、私の話かr¥多、自分に対する対応が見下してる、など、言ってたし。
そりゃ、見下すやろ!!!って言ったけど。

マジ、レベル低すぎて、びっくりした。
アフリカ、ってこんなもんなんや~って。


都合悪くなったら、英語じゃなく、スワヒリじゃなく、部族の言葉使うし。



気苦労、よく分かるわ!!!!


頑張ってな~~~~~♪
プロフィール

seventh star 7

Author:seventh star 7
黒岩揺光  
1981年、新潟生まれ。7人兄弟の末っ子。15歳で米国留学して以来、住んだ国は計8カ国に。海外生活計17年。日本では毎日新聞記者、アフリカでは難民キャンプの工場長、アゼルバイジャンで主夫、ジュネーブで国連職員などを歴任。現在は中東ヨルダンで妊娠した妻に寄り添う専業主夫。
 著書に「僕は七輪でみんなをハッピーにしたい」(ユーキャン)「国境に宿る魂」(世織書房)。
メール連絡先 yokuroi×hotmail.com (「×」を「@」にしてください) ツイッター:@YokoKuroiwa

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