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従業員のボイコット-第四話-

「ハガデラ従業員へ

ナイロビで、七厘についての会議があり、それに出席しなくてはいけないため、直接、話すことができず、すいません。

まず始めに、皆さんが正直な気持ちを伝えてくれたことに感謝します。私がライフラインに入ってから、これまで、不満を自分たちだけの中に抱え込ませてしまったようで、申し訳なく思っています。

モウリドからの報告書を読んで、とても心が痛みました。これまで、私が皆さんにどれだけ厳しくしてきたのか、気づきました。これまで、私が皆さんの尊厳をどれだけ痛めつけてきたのか、気づきました。そして、あなたたちがどれだけ我慢強く、耐えてきたのかも、理解しました。本当に申し訳なく思っています。この手紙で、これから、私の皆さんに対する接し方を変えることを約束させてください。

なぜ、私が皆さんにとても厳しかったのか説明させてください。私が最初、ライフラインに入った時、とてもショックを受けました。まず、1人の従業員は、主任が自分の出席簿に偽りの記載をしていると訴え、後に、その訴えが偽りだったことが発覚しました。次に、その日、レンガを生産した数は80だったのにも関わらず、別の従業員は「200」と偽りの記載をしました。最初の一ヶ月で、2回も従業員から騙されました。私は、皆さんから歓迎されている感じも、信頼されている感じもしませんでした。私との関係なんてどうだっていいと思っている様に感じました。

皆さんにとったら、この二人の従業員がやった行為は、工場全体と切り離して考えられるかもしれませんが、私は違いました。工場長として、従業員からもう騙されないようなシステムを作らなくてはならないと思いました。工場長と従業員の信頼関係がなければ、ライフラインはダダーブで活動することはできません。私も、あなたたちも仕事を失うことになるのです。だから、私たちが信頼し合えるシステムを作る必要があったのです。

まず、罰則規定を厳格化しました。私は二人の従業員を一ヶ月の停職処分にしました。 一人目の従業員は、既に、前任の工場長から口頭で注意を受けていましたし、二人目の従業員は、注意は受けた事がありませんでしたが、ライフラインの生命線である報告書に偽りの記載をした罪は大きいと思いました。

皆さんが、もし20人のアジア人と一緒に仕事をしていることを想像してください。あなたが唯一のアフリカ人です。最初の一ヶ月で、二人のアジア人から騙されたとしたら、どうでしょう?アジア人グループと信頼関係を築くのは簡単なことでしょうか?

私はあなたたちを信頼することが難しくなり、とても用心深くなりました。用心深くなることで、あなたたちからこれ以上騙されないように心がけました。

もちろん、罰則以外でも、あなたたちとの信頼関係構築のために努力したつもりです。従業員と工場長とのミーティングの数を増やしたり、Tシャツや看板を作りライフラインの存在感を高めたり、忘年会でヤギを一匹振る舞ったり、日常的に冗談を言い合ったり、、。信頼関係ができれば、騙されることはないと考えました。

だから、私の接し方がとても厳しく、疑心暗鬼に満ちていたのは、最初の一ヶ月で二回も騙されたトラウマを引きずっていたからだと思います。

でも、これからは違います。もう過去の事は忘れ、頭をリフレッシュします。皆さんを信頼することにし、怒鳴ったりはしないようにします。皆さんの能力を試すより、皆さんの努力を感謝するようにします。

皆さんがストライキに入った日のミーティングでとったような高圧的な態度はもう取りません。あの日、私は、再び皆さんに裏切られた思いでした。私に何の相談もなく、仕事を中断したからです。私に電話をしてくれた人はいませんでした。ミーティングを申し出た人もいませんでした。あなたたちに再び裏切られた思いで、苛立ち、あの様な態度になってしまいました。でも、今は、あなたたちがなぜストライキに入ったのか理解できましたし、あの様な厳しい接し方をしたことをすまなく思っています。

これからは、あなたたちの言うこと、書く事、すべて信じる様にします。もっと皆さんの前で笑顔でいる様にします。あなたたちを非難するより、褒めるようにします。

その代わりに、皆さんに一つお願いがあります。私に嘘はつかないでください。皆さんが嘘をついたら、再び、これまでの不信感に満ちた関係に逆戻りすることを意味します。

1月、二つの工場で生産された七厘の数は1100個でした。これは2007年以来、ライフラインがダダーブで活動を始めて以来の最高記録です。1000個を超えること自体初めてのことでした。私は、皆さんの努力を心から感謝しています。

今回のストライキの直接の引き金となったのは、ラホの過ちについて、従業員が私に直接報告したことでした。これからは、あなたたちの中で、できるだけ情報共有することにしてください。そして上に情報を上げる際は、正式なルートを使ってください。従業員から、主任、主任からモウリド、モウリドから私という風に。もし、とても敏感な情報の場合は、ルート外から情報を上げてもらっても構いませんが、その場合、他の従業員の尊厳を傷つけないよう、できるだけ配慮した形でやりましょう。

何か質問や提案があったら、いつでも、私に伝えてください」

私は、これをモウリドに送り、電話で「これで、従業員たちは納得してくれるだろうか?」と尋ねた。モウリドは、「大丈夫だと思います。明確な謝罪文と、工場長なりの言い分が、わかりやすく説明されています」と言った。

文面で、私は低姿勢を貫いた。彼らにとって、私に不満を意思表示するということは容易ではない。ライフラインから解雇された場合、読み書きのできない彼らにとって他の就職口を探すのは至難の技だ。だから彼らは、私が工場長になってから様々な痛みを伴う改革も、黙って従ってきた。私が工場に入った当初、従業員の規律の乱れはあったものの、彼らだけを非難するのは酷で、ライフライン側がしっかり彼らを世話してこなかった面もあるのだ。これを機に、彼らとの信頼関係を再構築できたらという願いを込めて書いた。

モウリドは、次の日に、この手紙を持って、従業員を説得するという。果たしてどんな、反応になることやら。
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ご苦労さまです

いや~、すごく、従業員に優しい内容。

従業員に振り回されない、と良いね。

これで、工場長の気持ちと考えが、従業員に通じますように!!!


侮れない、けど、前向きに考えて九しかないもんね~。


旦那ちゃんも、自営で、ガリッサ方面で仕事してるけど、従業員のだらしなさ、約束守らない、などなど、いつも大変そうです。。。。
ガソリンごまかされる~とか。
旦那も、何人か解雇してはるし。


同じケニア人?ですら、こうなので、誰がやっても、同じことなのですよ。
だったら、もう、自分の考えでいったほうが、明確かも。とも思うのです。
どうせ同じことをするのであれば。


頑張ってくださいまし~~~~。応援してます。
プロフィール

seventh star 7

Author:seventh star 7
黒岩揺光  
1981年、新潟生まれ。7人兄弟の末っ子。15歳で米国留学して以来、住んだ国は計8カ国に。海外生活計17年。日本では毎日新聞記者、アフリカでは難民キャンプの工場長、アゼルバイジャンで主夫、ジュネーブで国連職員などを歴任。現在は中東ヨルダンで妊娠した妻に寄り添う専業主夫。
 著書に「僕は七輪でみんなをハッピーにしたい」(ユーキャン)「国境に宿る魂」(世織書房)。
メール連絡先 yokuroi×hotmail.com (「×」を「@」にしてください) ツイッター:@YokoKuroiwa

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