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工場長からの指導、監督は誰のためなのか

4月24日の全体ミーティングで、私は、いつもの様に従業員たちに質問を切り出した。

私:皆さんの活動は、誰の生活の役立っているのでしょうか?
従:難民です。
私:そうですね。他にはいませんか?
従:私たち自身です。
私:はい。他には?
従:私たちがソマリアに戻れば、ソマリアの人たちの生活にも役立ちます。
私:そうですね。森林を保全することで、昨年の干ばつなどの自然災害を自分たちの力で予防することができるようになりますね。果たして、私たちの活動は、難民やソマリア人たちだけを助けているのでしょうか?

(少し間が開いて)

従:キャンプ周辺に住む、ケニア人も助けています。
私:でも、七厘を配っているのは、難民だけです。
従:私たちの七厘によって、周辺の森林が保全されれば、ケニア人の生活も改善されます。
私:そうですね。皆さんの活動は、難民やソマリア人だけでなく、ケニア人の生活改善にも役立っているわけです。では、次の質問です。この工場での私の役割は何でしょう?
従:本部と私たちとの繋ぎ役です。
私:はい。とても重要な役割ですね。他にはありますか?
従:、、、、。
私:私の役割は、本部と皆さんを繋ぐことだけでしょうか?
従:私たちの能力を高めることです。
私:そうです!私の最も重要な役割は、皆さんを指導、監督するということです。それでは、何のために、私は皆さんを指導するのでしょうか?目的は何でしょうか?
従:私たちが将来、ソマリアへ戻った時、自分たちで七厘工場を運営できるようにするためです。
私:はい。そうですね。では、私の指導は、あなたたちだけのためにあるのでしょうか?他の人は、誰も恩恵をこうむっていませんか?
従:、、、、、、、。


従業員たちの表情は困惑した。私から次々と浴びせられる質問に一生懸命答えようとしているが、どうやら、限界が来たようだった。

私:「私は、ライフラインの支援の質の向上のために、皆さんに日々、指導しています。ライフラインの支援の質が上がれば、皆さんの同胞たちの生活が改善されることを心から信じているからです。だから、私が、皆さんに何か指導する時、私があなたたちを嫌っているからだとか、工場から出て行ってほしいだからだとか、考えないでください。あくまで、皆さんの生活を改善していという想いだけで、これまで皆さんに語りかけてきたつもりです。

この10ヶ月間、皆さんには色々指導してきましたが、その度に、逆切れしたり、黙り込んだり、まるで母親を亡くしたかのような悲しみを見せる人までいました。もし、私の言い方に問題があったのなら、謝ります。これからも、言い方には気をつけていきたいと思っています。それでも、決して、私は皆さんを憎んだりはしていないということだけは、忘れないでください。私は、あくまで、皆さんの同胞たちを救いたいという一心で、これまでやってきたつもりです。

就業時間に遅れたりすることや、就業時間が終わる前に仕事を中断すること、無断欠勤すること。それらは、すべて、皆さんがサインした就業規則に書いてあることです。それに従わないというのは、皆さんが私に嘘を付いていると同じことなのです。将来のソマリアを考える時、皆さんが規則を守れるようになった方がいいと、私は信じているからこそ、規則を破る行為に対しては、しっかり注意してきました。

色々、融通がきかない所も多々あり、言い方も辛辣かもしれませんが、そういう時こそ、話し合ってお互いを理解していくようにしましょう」

従業員たちはいつもの様に黙って聞いていた。モウリドは、「皆、とても工場長の言葉に感謝しているようでしたよ。皆、他人から何かを本気で教わるという経験がないから、工場長からの指導も、自分たちのため、同胞のため、ましてやソマリアのためなんて、考えることなかったと思いますよ」と言っていた。

ミーティング後は、レクリエーション活動として野球をした。ナイロビで買ったゴムボールとプラスチックバットで、工場近くの広場で、従業員たちに教えた。大根打ちをする者、守備でボールを取り合いする者、打っても走ることを忘れる者、バットを持って走る者もいて、打順を守らず、とにかく毎回打席に立とうとする者などなど、従業員たちと笑いが絶えない時間を過ごせた。将来は、アフリカからプロ野球選手が誕生しないかな。
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プロフィール

seventh star 7

Author:seventh star 7
黒岩揺光  
1981年、新潟生まれ。7人兄弟の末っ子。15歳で米国留学して以来、住んだ国は計8カ国に。海外生活計17年。日本では毎日新聞記者、アフリカでは難民キャンプの工場長、アゼルバイジャンで主夫、ジュネーブで国連職員などを歴任。現在は中東ヨルダンで妊娠した妻に寄り添う専業主夫。
 著書に「僕は七輪でみんなをハッピーにしたい」(ユーキャン)「国境に宿る魂」(世織書房)。
メール連絡先 yokuroi×hotmail.com (「×」を「@」にしてください) ツイッター:@YokoKuroiwa

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